夜空に見るは灰色の瞳
「休日って、どこに行っても人がいっぱい居ますよね」
「まあ、休日だしね。なんか、バーゲンもやってるみたいだからそのせいもあるんじゃない?」
自動ドアをくぐってデパート内に入ったら、人の流れに沿って歩く。
買いたい物が決まっているわけではないので、人の流れに沿いながら、一階から順番に見て回る。
なぜそんな風に男と二人でデパート内を歩いているのかと言えば、まあ簡単に言って流されたのだ。気が付いたら、いつの間にか行く流れになっていた。
そんなわけで私達は、ひとまず一階から順番に、まずは靴屋から見て回る。
「靴、靴かあ……でもきっと、こういうオシャレな革靴より、畑で使えそうな長靴とか、歩きやすい運動靴とかの方が喜ぶと思うんですよね。まあ、そもそも足のサイズがわからないんですけど」
「……もっと早く言って」
なんとも役に立たない男と連れ立って、靴売り場を出て隣の鞄売り場へ。