夜空に見るは灰色の瞳
「んー……祖父が鞄を持ち歩いているところって見たことがないんですよね。でも贈ったら使ってくれるかな……。ああでも、箱に入ったまま飾られそうな気がします。永遠に」

「……じゃあ次」


続いて、エスカレーターで二階へ上がり、紳士服売り場へ。


「おお、この服かっこいいですね。祖父にも似合いそうです。しかもバーゲン中だからとってもお安くなっていますよ」

「じゃあ、これにする?」

「でも、祖父のサイズがわからないですね。とりあえずMで大丈夫でしょうか?」

「……だから、そういうのはもっと早く言ってってば」


とりあえずでMを買って入らなかったらどうするのだ。


「ここはゲームとか玩具の売り場だから見ないけど、いいよね?」


再びエスカレーターで上に向かい、三階へ。ゲームコーナーと玩具売り場になっているそこは素通りしようと思ったが、一応確認を取る。

この階はどこよりも子供の姿が多く、賑やかと言うよりやや騒がしい。
遠くの方からは、何があったのか泣き声まで聞こえてくる。


「そうですね。事件の気配がしていますし、次に行きましょう」

「……ただ子供が泣いてるだけでしょ」
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