夜空に見るは灰色の瞳
四階は本と雑貨とアクセサリーの売り場になっていて、賑やかだった三階に比べると大変静かだ。


「いいですね、この階は。落ち着きます」

「まあ、静かだしね。下に比べたら」


エスカレーターを上がり切ったところで最初に目に入るのは、本の売り場。


「わざわざこっちで本を買って送るっていうのもね……。そもそもお祖父さん、日本語は読めるの?」

「魔法使いですから、そこは魔法で何とでも」

「ちょっ!誰かに聞かれたらどうするの」


慌てて辺りを見回すが、男の発言を不審に思っているような人物は見受けられない。


「ああ、すみません。つい」

「ついって…………全く。じゃあ、本にする?パンに関する本とか、畑作りに関する本とか」

「ああ、いいですね。でも祖父は勉強熱心な方ではないので、贈っても読んでくれるかどうかわかりませんけど」

「……それってさ、ダメじゃない?」

「やっぱりダメですかね」
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