夜空に見るは灰色の瞳
「自分家用の食材の買い出しだよ。ここ、今日は肉と魚が安いんだ」


そう言って大路くんは、パンパンに膨れた袋を少しだけ掲げる。


「……安かったにしても買い過ぎじゃない?大路くん、確か一人暮らしだったよね」

「一週間分くらいまとめて買っとくんだよ。店が忙しいと買い物行ってる暇がないからな。一人暮らしだと、代わりに行ってくれる人もいないし」

「……ごめんね、悲しい話させちゃって」

「やめろ、憐れむな。腹立つから」


ところで叶井は――と大路くんが話を変えようとした時


「お待たせしました叶井さん」


お会計を終えた男が、大きな紙袋を持って登場した。

大路くんと男の視線が交わると、一瞬で大路くんの体に力が入る。
対する男の方は、純粋に驚いたような表情を浮かべると、次いでニッコリ笑って挨拶をする。

それは、人好きがするのかそれとも胡散臭いのか、私の中で判断がつかなくなっているあの笑顔である。
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