夜空に見るは灰色の瞳
「こんにちは、大路くん。奇遇ですね。お買い物ですか?」

「ええ、見ての通り。あなたもですか」

「はい。叶井さんに付き合ってもらって、贈り物を買いに来たんです」


余程気に入ったのか、男は嬉しそうに袋を掲げて見せる。
それにパッと目を見開いた大路くんは


「贈り物って、どなたにですか?ひょっとして、彼女さんにですか」


なぜか勢い込んでそう尋ねた。
男は、その勢いに驚いたように身を引いてから「いえ……祖父に、ですけど」と答える。

その答えに、なぜか大路くんは明らかに落胆した表情を浮かべた。
表情だけでなく、肩まで落としている。おまけに、ため息もついた。


「……どうしたの?大路くん」

「いや、別に……」


何でもない。と大路くんは言うが、何でもないようにはとても見えない。

男と二人で顔を見合わせて不思議がっていると、何やらエスカレーターの方からかしましい声が聞こえてきた。
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