夜空に見るは灰色の瞳
もうさいあくーと口々に不満を漏らしながらエスカレーターを降りて来たのは、若い女の子三人組。
その会話と、彼女達の姿を見て、私は目を見開いた。


「……もしかして、雨降ってる?」


私の呟きに、大路くんは何を言っているんだと言いたげな顔で頷く。


「知らなかったのか?かなり勢いよく降ってるぞ」


その言葉に、今朝方見た空模様を思い出す。
いつ降り出してもおかしくないようなどん曇りだったのに、出る時は平気だったからうっかりして傘を持って来ていない。


「……走ったら、バス停までならいけそう?」

「ずぶ濡れ確定だな。その紙袋なんか、やばいんじゃないか?」


大路くんが指差したのは、男が手にしている大きな紙袋。
確かにこれは服の中に隠すことも出来ないし、その辺で傘を調達したとしても、全く濡らさずに家まで持ち帰るのは中々難しそうだ。
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