夜空に見るは灰色の瞳
どうしてよりによって紙袋なんだ、しかもサイズが……なんて、今更どうしようもないことを心の中で嘆きつつ、どうしたものかと悩んでいると


「二人は、バスで来たのか?」


大路くんからの問いかけ。


「だって私、車持ってないし」

「僕も、持ってないです」


二人で順番に答えると、その答えになぜか大路くんの目が輝いて、それまで落胆していた表情に一気に力が戻った。

そして大路くんは、私から男へと視線を移す。


「そういうことなら、送ってあげてもいいですよ。俺、車なので」


私は、思わず小さく首を傾げる。

なぜそれを、男に向かって言うのだろう。しかも、勝ち誇ったように。
ひょっとして、車を持っているということを誇りたいのだろうか。私の知っている大路くんは、そんなに小さな男ではなかったはずなのだが。


「どうします?嫌なら叶井だけ送っていきますけど」

「え?……いや、送ってくれるのは嬉しいけど、でも流石に置いて行くのは」
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