夜空に見るは灰色の瞳
「……ちなみに俺は、男女間の友情は成立しない場合の方が多いと思ってる」


それはつまり……やっぱり、そういうことなのか。

思い詰めたような表情で、大路くんは私を見ている。
でも私は、そんな大路くんを真っすぐに見つめ返すことが出来なかった。

だってそうだろう。私はずっと友達だと思って接して来たけれど、大路くんはそう思っていないのだから。
私は大路くんにとって、自意識過剰で馴れ馴れしい“元同僚”でしかないのだから。

それを自覚してしまったら、とてもではないが大路くんの顔を正面から見られない。

我慢出来ずに視線を下に落とし、「……そっか」と呟く。
それが、大路くんに聞こえたかどうかはわからない。

でも私は、もうこれ以上大路くんと二人きりでいるのに耐えられなくて、急いでドアを開けて車外に出る。
ちょっと待て、叶井!と焦ったような声に呼び止められたけれど、視線を落としたまま「送ってくれてありがとう。……それじゃあ」と早口に告げて、ドアを閉める。

慌てたように運転席から出てきた大路くんが


「待てって叶井!まだ話は終わってない。むしろここからが――」


と言っているのが聞こえたけれど、私は聞こえなかったふりをして駆け出した。
目の前のアパートに向かって、全速力で。






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