夜空に見るは灰色の瞳

「……で、話って?」


大路くん、私、魔法使い男の三人で、テーブルを囲んで座る。

話があると言ってもしばらく放心状態で壁にもたれていた大路くんは、アルバイトからの電話で我に返ると「悪い、急用が出来たから今日は臨時休業で」と言い放ち、電話を終えてからまたしばらく放心した後で、ようやく落ち着いた眼差しで私と男とを交互に見た。

とは言っても、落ち着いているのはパッと見だけで、実際はそうでもないらしい。
テーブルに置かれたコップを掴む時、大路くんの手は、冷めやらぬ動揺を表してか少しだけ震えていた。


「まあ、その……さっきのことなんだけど」


そこまで言ったところで、さてどうしたものかと口を閉じる。

見られてしまった以上正直に話すしかないことはわかっているのだが、話を聞いた後の大路くんの反応を思えば、どうにも決心がつかない。


「叶井、こうなったらもう隠さなくていい。正直に言ってくれ」


そうは言っても、真実を伝えるのは勇気がいる。
これで大路くんが私のことを友達だと思ってくれていたら、ほんの少し前までの気安い関係のままなら、これほど気負うこともなく言えたのかもしれないが。
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