夜空に見るは灰色の瞳
「ああ、ごめん。待っててくれたんだ。言ってくれたらもっと急いだのに」

「そんなに待ってませんよ。あっ、そうだ叶井さん、アメ食べません?今朝コンビニで買ったんですけど、フルーツピューレ入りのアメらしいんですよ。えっと……黄桃味と、白桃味があります」


鞄から未開封の袋を取り出した三永ちゃんは、その口を開けて中から個包装の飴を二つ取り出す。


「ありがとう。えっとじゃあ、白桃」

「どうぞー」


三永ちゃんは私が取らなかった方の包装を破り、二人して飴玉を口に入れてゴミ箱に空を捨ててからロッカールームを出る。

歩いている途中「そうだ、叶井さん!」と三永ちゃんが口を開いたので、主任に対する愚痴でも言い始めるのかとドキドキしたが、それはいらぬ心配だったようで、始まったのは最近ハマっているという漫画の話だった。

それについて楽しげに、そして若干興奮気味に語る姿に、つられるようにして私の気分もちょっぴり上向く。
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