夜空に見るは灰色の瞳
「俺さ…………」


目が合うと、大路くんは開いた口を幾度か動かすものの言葉は発せず、その後、何かを諦めるように静かに口を閉じた。
それが再び開くまでには、少し時間がかかった。


「……さっきの、車でのことだけど」


その言葉に、それまで大路くんを見ていた男も私の方を向くと、「車?」と呟いて首を傾げた。


「お前、とんでもない思い違いをしてるぞ」


大路くんは、呆れたように笑いながら言う。


「いいか、俺は、男女間に友情は成立しない“場合の方が多い”って言ったんだ。絶対に成立しないとは言ってない」

「……あれ、そうだっけ……?」


言われてみれば確かに、あの時大路くんは、“絶対にない”とは言っていなかった……ような。


「だから…………俺達は、友達だ。俺と叶井の間には、ちゃんと友情が成立してる」


そう言い切った大路くんの顔は、清々しそうではあったけれど、同時にどこか寂しそうにも見えた。
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