夜空に見るは灰色の瞳
「こう……モヤッとするんです」
「……何が?」
大路くんが帰ったところで部屋に戻り、座って一息ついたところで、男が口を開く。
私としては、大路くんから貰った“友達”という嬉しくもちょっぴり気恥ずかしい言葉に浸りたいところなのだが、この男が居る状態ではそれも出来ない。
なにせこの男、何だか難しい顔をしているし。その表情は、どことなく不機嫌そうにも見える。
「上手く説明出来ないんですけど、何かこう……モヤッとするんですよ。叶井さんを見ると、いや……叶井さんと大路くんが親しげに笑い合っているのを見ると、何となくモヤッとするんです」
何なんでしょうこの感じ……と男は難しい顔で唸る。
「それはつまり、自分だけ仲間外れにされた感じで嫌だったってこと?」
「僕はそんなに小さな男ではないと、自分では思っているのですが……」
また、うーん……と男が唸る。