夜空に見るは灰色の瞳
「それじゃあ叶井さん、わたしはこっちなので。今日はほんとにほんとにほんとーに、お疲れ様でした」

「うん、お疲れ様。帰り、気を付けてね」

「叶井さんこそですよー」


笑顔でペコリと頭を下げて、三永ちゃんは歩き出す。
その背中をしばらく見送ったところで、私は反対方向に足を踏み出した。

今日は朝から色々あり過ぎて疲れたことだし、バスが来るまでまだ時間もあるので、三永ちゃんから貰った白桃味の飴を口の中で転がしながら、せかせかと家路を急ぐ人達の中をのんびりと歩く。

その道中、口内で転がしていた飴が割れて、中からフルーツピューレと思われるものがとろりと出てきた。

白桃のフルーティーな甘さを堪能しながら、私はバス停を目指す。





**
< 23 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop