夜空に見るは灰色の瞳

幕間 そして二人

「私、もう帰るけど、三永ちゃんは……」

「わたしは、もうちょっと飲んでから帰りまーす。お疲れ様でしたー」

「そっか、飲み過ぎないようにね。じゃあ、お疲れ様。大路くんも、またね」

「おう、気を付けて帰れよ」


ひらりと手を振って叶井が店を出たところで、三永はすぐさまカウンターの方に向き直る。

大路の高校時代の同級生二人組も既に帰ったので、店の中には大路と三永の二人だけ。
だから三永は、特に声を抑えることもしなかったし、回りくどい言い方もしなかった。


「大路さん、叶井さんのこと好きですよね。もちろんそれは、友達としてということではなく、異性としてという意味です」


問いかけと言うより確認に近い言い方に、大路は一瞬目を見張って、それから出入口のドアの方を確認すると、再び三永に向き直って苦笑した。


「いつから気付いてた?」

「初めて大路さんとお会いした時です。親子丼のお店でのことですね。大路さんと叶井さんの様子を見て、ピンと来ました。とは言っても、最初はお二人がお付き合いしてると思ってたんですけど」


その先はあえて言わずに口を閉じると、大路は深く息を吐いた。
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