夜空に見るは灰色の瞳
「……まさか、横から持っていかれるなんてな」


そう呟いた大路の目は、まだ遠い所を見つめている。

見つめる先にあるのは、叶井の姿だろうか。それとも、叶井の彼氏の姿だろうか。ひょっとしたら、二人で並んでいる姿かもしれない。

どれだったとしても、大路には辛いことに変わりはないのだろうなと、三永は思った。


「未練ありまくりって感じですね、大路さん。何だか、わたしが抱いていたイメージとはだいぶ違います」


それまで遠くを見つめていた大路の視線が、三永の方を向く。
その顔には、自嘲的な笑みが浮かんでいた。


「幻滅させちゃってごめんね。でも俺、この通り女々しい奴なんだよね。叶井に彼氏がいるってわかったところで、すっぱり諦めることも出来ない」

「じゃあどうして、告白しなかったんですか?叶井さんがいつどんな風にして彼氏さんと出会ったのかは知りませんけど、大路さんなら、それより先に告白出来るチャンスが幾らでもあったのでは?」
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