夜空に見るは灰色の瞳
「だから、叶井さんには、友達だって言ったんですか?」


納得したわけでもないだろうが、三永が“それはなぜですか?”と追及してこなかったことが、大路には有難かった。


「そう言うしか、ないと思ったんだよ。それに叶井は、友達だって言った時、凄く嬉しそうな顔してた。……たぶんあの顔は、一生忘れない」


友達としか思われていないことが、寂しかった。でも、あんなにも嬉しそうに笑ってくれたのは、嬉しかった。

この複雑な感情もまた、三永に伝えることはとても難しい。


「わたしの中の大路さんのイメージが、どんどん崩れていきます」


そう言って三永は、難しい顔をする。それに大路は、苦笑を返した。


「悪いね。これを機に、俺へのイメージを改めてよ」

「顔がよくて仕事も出来るのに、実は女々しくていざという時に思いきれない、って感じでいいですか?」

「……三永ちゃんは遠慮がないね。まあ、事実だからいいんだけどさ」


大路の中でも、これまで抱いていた三永へのイメージが、ガタガタと崩れていく。
それを伝えてみたら、三永はふふっと笑った。


「大路さんも、わたしに幻滅しちゃいました?」
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