夜空に見るは灰色の瞳
終章
また一段と日が短くなり、それに加えて日々寒さが増していくように感じられる中を、足早に歩く。
本当はゆっくりと帰りたいところだが、心配事があるせいで気持ちが急いてしまって、自然と歩調が速くなる。
一定の間隔を空けて立つ街灯と、時折通る車のヘッドライトが照らす道には、せかせかした足取りで進む私の他に、向こうからこちらへと歩いて来る影が一つ。
すれ違う直前で、右に左にと知らない人とステップを踏み合うわけにはいかないので、最初から左に寄っておく。
けれど、私がその影とすれ違うことはなかった。
「あっ、叶井さん!」
そう声を上げて駆け寄って来た影、もとい上から下まで黒っぽい相変わらずな格好で現れたのは、灰色の瞳の魔法使い。もしくは、私の心配の元。
彼がいつでも上から下まで、靴も靴下も、おまけに以前聞いた話だと下着まで含めて黒っぽい色味でまとめているのは、その色が好きだからではなく、その色が魔法使いっぽいからだそうだ。
黒は魔法使いの色でしょう?なんて言われたけれど、私にはよくわからない。
本当はゆっくりと帰りたいところだが、心配事があるせいで気持ちが急いてしまって、自然と歩調が速くなる。
一定の間隔を空けて立つ街灯と、時折通る車のヘッドライトが照らす道には、せかせかした足取りで進む私の他に、向こうからこちらへと歩いて来る影が一つ。
すれ違う直前で、右に左にと知らない人とステップを踏み合うわけにはいかないので、最初から左に寄っておく。
けれど、私がその影とすれ違うことはなかった。
「あっ、叶井さん!」
そう声を上げて駆け寄って来た影、もとい上から下まで黒っぽい相変わらずな格好で現れたのは、灰色の瞳の魔法使い。もしくは、私の心配の元。
彼がいつでも上から下まで、靴も靴下も、おまけに以前聞いた話だと下着まで含めて黒っぽい色味でまとめているのは、その色が好きだからではなく、その色が魔法使いっぽいからだそうだ。
黒は魔法使いの色でしょう?なんて言われたけれど、私にはよくわからない。