夜空に見るは灰色の瞳
「でも、それでも実写化に乗り出すのなら、最低限原作に近付けて欲しいじゃないですか!ファンとしては。それなのに、中途半端に漫画のシーンを引っこ抜いて、あとはよくわからないオリジナルの話で繋げるなんて、それってどうなんですか!?そんなの、漫画の実写化って言えるんですか!!」

「そ、そうだね……それは、ちょっと――」

「言えないですよね!!絶対言えないですよそんなの。言っちゃいけないし、言って欲しくないです!」

「……うん、あの……三永ちゃん」


ここで己の失敗に気が付いても、もう遅い。


「でも、お話としては悪くないんですよ!オリジナルのただの恋愛映画として観たら、凄く面白いんです。事実、原作を知らない人達の間では、とてもいい映画だって話題なんです。でも!あくまでもその映画は漫画の実写化なんですよ?そうなると、あの出来では全然納得出来ません!」

「……うん、えっと……気持ちはよくわかった」

「出演してる俳優さん達は皆さん演技が上手だし、バックで流れる音楽とかも最高なんです。……それなのに、……いや!それだからこそ、なぜもっと原作に沿ったストーリーにしてくれなかったのかと、それが出来ないのならなぜ実写化に乗り出したのだと、わたしは声を大にして言いたいわけなんですよ!」
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