夜空に見るは灰色の瞳
思わず固まったその隙に男はドアを開け放ち、「お邪魔します」と入ってくると、後ろ手にドアを閉めた。
「……お隣さんに、何て挨拶したの」
「えっと、“こんばんは。僕はこちらに住んでいる叶井さんの友人です、初めまして。今日会う約束をしていたのですが、タイミングが合わずに先に着いてしまいまして。ここで少し待たせてもらっています”と」
「……誰が友人だ」
「階段を上がってきたお隣さんとバッチリ目が合ってしまいまして、不審人物を見る目を向けられたので、そう説明したんです。それについては、特に疑っている様子はありませんでしたよ」
そういうことは、もっと早く言って欲しい。
友人を名乗る男と玄関先で言い合っていたなんて、どんな噂となって広がるか想像するだけで恐ろしい。
でも確か、お隣さんは大人しそうな大学生だったはずなので、噂話が生きがいのようなおばちゃんでなかったことは救いだ。
思わず深いため息を零したら、男はそれに耳聡く反応を示す。
「……お隣さんに、何て挨拶したの」
「えっと、“こんばんは。僕はこちらに住んでいる叶井さんの友人です、初めまして。今日会う約束をしていたのですが、タイミングが合わずに先に着いてしまいまして。ここで少し待たせてもらっています”と」
「……誰が友人だ」
「階段を上がってきたお隣さんとバッチリ目が合ってしまいまして、不審人物を見る目を向けられたので、そう説明したんです。それについては、特に疑っている様子はありませんでしたよ」
そういうことは、もっと早く言って欲しい。
友人を名乗る男と玄関先で言い合っていたなんて、どんな噂となって広がるか想像するだけで恐ろしい。
でも確か、お隣さんは大人しそうな大学生だったはずなので、噂話が生きがいのようなおばちゃんでなかったことは救いだ。
思わず深いため息を零したら、男はそれに耳聡く反応を示す。