夜空に見るは灰色の瞳
「では、今日はありがとうございました。ロップイヤーに勝てるといいですね、応援しています」
そう言って男は、再び洗面台に腕を沈めていく。
立ち上がって洗面台を見ると、先ほどまで膝の上に居た黒いウサギが、今は土管の中に居た。
後ろ足で耳をかいているのだが、そんな姿もまた可愛い。
男が洗面台から腕を抜くと、それと同時に映っていたウサギの姿がフッと消え、ただ洗面台に溜まった水がそこにあるだけとなった。
チラッと見ると、洗面台から引き抜いた男の腕はちっとも濡れていない。
試しに溜まった水に指を入れてみたら、男の腕やウサギと違ってしっかりと濡れた。
「これは…………。……ほんとに、本物だったんだ」
「……え、それってもしかして、僕のことを言っています?まだ信じていなかったんですか」
男が、衝撃を受けたような表情で私を見る。
「だって、簡単に信じられる話じゃないでしょ」
「叶井さんは、ご自分の目で既に見ているじゃないですか。僕が飛んでいるところ」
「でもまだ見間違いの可能性は捨て切れてなかったから」
そう言って男は、再び洗面台に腕を沈めていく。
立ち上がって洗面台を見ると、先ほどまで膝の上に居た黒いウサギが、今は土管の中に居た。
後ろ足で耳をかいているのだが、そんな姿もまた可愛い。
男が洗面台から腕を抜くと、それと同時に映っていたウサギの姿がフッと消え、ただ洗面台に溜まった水がそこにあるだけとなった。
チラッと見ると、洗面台から引き抜いた男の腕はちっとも濡れていない。
試しに溜まった水に指を入れてみたら、男の腕やウサギと違ってしっかりと濡れた。
「これは…………。……ほんとに、本物だったんだ」
「……え、それってもしかして、僕のことを言っています?まだ信じていなかったんですか」
男が、衝撃を受けたような表情で私を見る。
「だって、簡単に信じられる話じゃないでしょ」
「叶井さんは、ご自分の目で既に見ているじゃないですか。僕が飛んでいるところ」
「でもまだ見間違いの可能性は捨て切れてなかったから」