夜空に見るは灰色の瞳
忙しなく上から下からポケットというポケットに手を入れてみるが、これまたスマートフォンがどこにもない。
念のため鞄をもう一度探ってみる。内ポケットも丁寧に。
「ああ、もう……」
けれど結局、スマートフォンは見付からなかった。
財布もろとも家に忘れて来たのだろう。途中で落とした可能性は考えたくないので、家にあることを信じる。
全く、何という不運の連続。
こんな不運に襲われても仕方がないと思えるような幸運はここ最近なかったから、これはそのうちとんでもない幸運がやって来ることを期待しないとやっていられない。宝くじでも買っておくべきだろうか。
何にしても、一回頭を抱えてうずくまりたい。
それくらいは許されるような悲しい出来事ではないかと思うのだが、通勤ラッシュの駅構内でそんなことをしていては、白い目で見られること請け合いだ。
もうこれ以上心の傷を増やすのは遠慮したいので、改札を通って流れていくスーツや制服の群れに逆らうようにして、出口へとぼとぼ歩き出す。
念のため鞄をもう一度探ってみる。内ポケットも丁寧に。
「ああ、もう……」
けれど結局、スマートフォンは見付からなかった。
財布もろとも家に忘れて来たのだろう。途中で落とした可能性は考えたくないので、家にあることを信じる。
全く、何という不運の連続。
こんな不運に襲われても仕方がないと思えるような幸運はここ最近なかったから、これはそのうちとんでもない幸運がやって来ることを期待しないとやっていられない。宝くじでも買っておくべきだろうか。
何にしても、一回頭を抱えてうずくまりたい。
それくらいは許されるような悲しい出来事ではないかと思うのだが、通勤ラッシュの駅構内でそんなことをしていては、白い目で見られること請け合いだ。
もうこれ以上心の傷を増やすのは遠慮したいので、改札を通って流れていくスーツや制服の群れに逆らうようにして、出口へとぼとぼ歩き出す。