夜空に見るは灰色の瞳
「叶井さんはそればっかりですね。せっかく専用の魔法使いがいるっていうのに。こんな機会、もう二度と手に入らないと思いますよ?」

「今は特に魔法使いを求めてないんだからしょうがないでしょ。わかったらとっとと帰って」

「人間は欲深い生き物だって聞いていたんですけどね……。叶井さんは、本当に人間なのですか?」

「正真正銘人間ですけど。ていうか、魔法使いだからってこき使われずに済んでるんだから、むしろ楽でいいでしょ。不満を言われる筋合いはない。嫌なら私専用とか言うのを今すぐやめてもらって全然構わないから。その場合は、もう二度とひとの家の前で待ち伏せしないように。もちろん、不法侵入も」

「わかっています。まだ僕のことを信用出来ないって言いたいんですよね。早く叶井さんに信用してもらえるよう、頑張ります!」

「……いや、頑張らなくていいから。私の話、聞いてた?」


はい!と大変いいお返事が返ってきたが、絶対に聞いていなかったと思われる。もしくは、聞いていたとしても理解していないか。
< 80 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop