夜空に見るは灰色の瞳
「……な、なっ、なに、何して……」


心臓が、ドキドキを通り越してバクバクしている。
よく、口から心臓が飛び出しそうなどと言うが、正にそんな感じだ。


「叶井さんは今日お休みですよね。そうなると、今までの感じからして普通に訪ねていっても入れてくれないのではないかと思いまして、今日はここから失礼しようかと。あっ、ちなみに、現在どういう状況になっているのかと言いますと、我が家の洗面所の鏡と、叶井さんのお宅の洗面所の鏡が繋がっている状態です。理屈としては単純なんですけど、やってみるとこれが意外に難しく――」

「あー、はいはい。説明どうも。一つ言わせてもらえるなら、勝手に繋がないでくれるかな」


面倒くさそうな話が続きそうだったので、途中で遮りため息をつく。
そこで私は、ハッと気が付いた。

現在私はスッピンだ。それも、顔を洗うためにヘアバンドで髪をまとめ上げているので、無防備におでこまで晒している状態。

気付いたところですぐさま、持っていたタオルで顔を隠すように覆う。
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