夜空に見るは灰色の瞳
私としては充分な甘さなのだが、男が求めていた甘さには足りなかったようで、少し不満そうな顔をしていた。ひょっとしてかなりの甘党なのだろうか。

とりあえず、白いご飯よりもパンの方が合いそうだったので、トーストしてマーガリンを塗った食パンに挟んでサンドイッチにして、具は薄切りタマネギだけのシンプルなコンソメスープと共にテーブルに並べる。

フライパンは男の言う通り、火にかけても溶けたり爆発したりしなかった。とっても使いやすい普通の玉子焼き用のフライパンだった。


「おおー」


テーブルに並んだ朝食を前に、男は先ほどまで不満げだったのが嘘のように華やいだ表情で感心したような声を漏らす。


「普段から料理をされているというのは本当だったんですね」

「……疑ってたわけ」

「本当は大して出来もしないのに、見栄や意地で出来ると豪語する人はたくさんいますからね」

「……私、別に豪語はしてないと思うんだけど」
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