夜空に見るは灰色の瞳
「まあ、気が変わったらいつでも言ってください。それから、伝え忘れていましたけど、叶井さんの中にある感情が強ければ強いほど、それは僕に伝わりやすくなってしまうので、気を付けた方がいいですよ」


何のことかと首を傾げる。

男は、手に持ったサンドイッチを口元に運びながら、頭上にクエスチョンマークを浮かべている私に向かって続けた。


「洗面所でのことです。随分と動揺されていましたよね、ガンガン伝わってきました」


首を傾げたまましばらく考え、やがて思い至った答えに目を見開く。


「でも大丈夫です!安心してください。見ていませんから」

「…………っ!!」


全然大丈夫じゃないし、安心なんて出来るわけがないのだが、男は大変いい笑顔でそう言って、サンドイッチに齧り付いた。
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