夜空に見るは灰色の瞳
流れで共にしてしまった朝食が片付けまですっかり終わったところで、いつも以上に距離を空けて向かい合う。
「どうしてそんなに離れるのですか?」
「私とあなたは、これくらいの距離感で丁度良いんです。むしろ、これでも近過ぎると思います」
「……近過ぎるということはないと思いますけど」
ウサギの一件以来つい砕けてしまっていた口調も、ここに来て元に戻す。
別にそれだって、仲良くなったので口調が砕けたわけではない。
突然のウサギの登場に驚いて思わず口調が砕けた、というか素になってしまい、それがそのままになっていただけの話だ。
「ずっとそのままでもよかったんですよ?その方が、早く仲良くなれそうな気がしますし」
「仲良くなる必要なんてありませんから。あと――……まあ、もうそれはいいです。言っても無駄なようなので」
「はい!ご理解いただけて感謝します。勝手に流れ込んでこないように制御するのは、とても難しいんですよ。慣れるまではかなり神経を使うので、物凄く疲れるんです。そのせいで僕は、練習中に何度か動けなくなったことがあります」
せっかくの休日に動けなくなった男を介抱しなければならないのは激しく遠慮したいので、ここは我慢だ。