日常(仮)
だけど、ていらは嫌な猫じゃない。
化け猫なのかも知れないけど、小さい時からずっと私のそばにいてくれる。
困ったときには、私を助けてくれる。
私にとっての唯一の家族。

施設の遊具で遊ぼうとした時

「こころ。それに触っちゃダメ。」

ていらにそう言われて、その遊具で遊ぶのをあきらめたことがある。
そしたら少ししてから、その遊具でケガをした子がいた。
ねじがゆるんでいたのが原因だったらしいけど、ていらにとめられなかったらケガをしていたのは私だっただろう。

自分のやりたいことがうまく出来なくて泣いた時は、ずっと励ましてくれてた。
「なんで、こころは上手じゃないの?」

「はじめから上手な人なんて滅多にいないよ。みんな練習してる。頑張って練習してできるようになるから、楽しいの。」

そう言って、そばにいてくれた。

「できた!」

「頑張ったね、こころ。すごいよ。上手!」

できると誰よりもほめてくれて、誰よりも喜んでくれる。
ニコニコ笑うていらが大好き。
だから、施設で孤立しても寂しくなんてなかったし、誰になんて言われても
ていらと一緒がよかった。

ずっと、ていらと二人で過ごす日常が続いていた。
穏やかで平和で変わらない日々。
こんな日々が続いて欲しかった。
特別なことなんて何もいらない。
そう思ってた。

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