酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「おはよう、まつり。」

「あ、佐伯さんおはようございます。」

相変わらず、早いな...。

私ももっと早く出勤するようにしなきゃ。

「今日もかわいいね。」

「あ、ありがとうございます...っ。」

「今日も、充電させて。」

ちょっと強引に私を抱きしめる佐伯さん...。

私が充電されてるみたい...。

「余計なお世話かもしれないんだけどね。
俺もちょっとだけ考えてみたんだ。」

「え...。」

「ここを離れても、彼とはずっと友だちだし、まつりのことずっと大切に想ってる。

だからどんな所でも俺は精一杯頑張るって、そう決めているから。」

「はい...。」

「無責任だけど、まつりに委ねるしかないんだよね。俺から言うことはできなくて。
それが本当に申し訳ないんだけど...。」

そんなことないのに。

元はといえば、私が佐伯さんのこと潜入調査するっていう目的でここに来たわけだから。

それなのに、快くなんでも応えてくれて、

むしろ申し訳ないのはこっちで...。

「まつりがどんな道を選んでも、大丈夫だよ。そんなに深刻に悩む必要はないんだよって。それだけ言いたくて。」

「佐伯さん...。」

あったかい声...。

「俺、きっとまつりが良かったって思えるようにするから。

絶対、離れないから。」

あ...。

その言葉が、いちばん聞きたかったのかも。

離れないって言ってくれた...。

それだけで、私は...。

「佐伯さん、私いますごく幸せです。」

「...。」

何にも言わないかわりに、ぎゅっと力が強くなって...。

それで...なんだか安心して...。

ねむく...。
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