酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
とりあえずリハーサルが終わって。

本番は次の日だ。

「お疲れ様です、佐伯さん。」

って、言えたのも結構時間かかったな...。

佐伯さんの周りには色んな人が寄ってきて...。

その多くが女の人で...。

女優さんとか、歌手とか、アナウンサーとか...。

やっと楽屋に帰ってきたときにはもう色んな意味でクタクタ...。

「まつりも頑張ってたね。」

「いえ、私は基本番組スタッフの方にお任せしていたので...。」

「十分だよ。いつも助かってる。」

「そんな...。」

...笑顔が眩しくていつも何も言えなくなっちゃう。

「あの...初めてのテレビ出演...色んな方が見てくれると...いいですよね。」

なんてやっと言えたけど。

「まつり。」

「はい...。」

「俺の目、見て。」

「...。」

「本当に、今日はよく頑張ってくれているから。」

「佐伯さ...ん。」

頬に手が触れた。

「だから、泣かないで。」

「...。」

やだ、私...。

視界が歪んでると思ったら、涙が溜まってる...。

こんなにすぐに私...。

佐伯さんに気を遣わせちゃって私...。

「...不安だった?」

「は、い...。」

「まつり...まつり。」

慈しむような声...。

不安は...除かれたはずなのに、緊張して、ドキドキして、結局は涙が...。

「俺がちゃんと好きって分かるまで、何度でもこうして...。」

強引に身体が引き寄せられて。

唇を奪われる。

...こ、こんな。

安心しちゃ、う...。

「...。」

はぅ...。

とろける...。

「...どう?」

「佐伯さ...ん。ごめんなさい。」

「こちらこそ。不安にさせてごめんね。
好きだよ。」

「はい...。」
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