酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「ただいまー。ネギ買ってきたよ。」

「遅い。
どこまで買いに行ってたの?」

「なかなか売ってなくてさ。
はいこれ。」

「薬味に使うんだからこんなに沢山買わなくてもいいのに。」

「えー?」

「まあいいわ。
しばらくはネギづくしね。」

「僕は君の作る料理だったらなんでも好きだからいいよ。」

「何言ってるのよ。嘘くさい。」

「本当だって!」

「それはともかく、まつりがあなたがいた事務所のオーディション受けるのよ。
なんとかしてあげて。」

「本当かい?
まつりならきっと大丈夫だよ。」

「そういう根拠の不明確なアドバイスは何の役にも立てないのよ。
あなたの伝手で有利にしてあげるとかできないの?」

「それは僕でも難しいな。
もう事務所は退所してしまったし。」

「ほんと役に立たないわね。」

「でも、審査員に認めてもらうには、情熱、が1番大事かなって思うよ。
お客さんを喜ばせたい、楽しませたいっていうような熱い気持ちが大切さ。」

「そうかしら。その熱い気持ちの他にも運や技術が必要とされること前提だし、大体は大小あってもコネじゃないの?1番大事なのは。」

お母さんは相変わらず冷めてる...。

「でも、僕はその情熱や信念でロックミュージシャンとして花開くことになったんだ。

それに、僕はこの情熱で、母さんやその家族に交際や結婚を認めてもらったんだよ。
告白やプロポーズ、挨拶にいくときとか、オーディションを受けるときよりもずっと緊張したよ。」

「情熱も熱すぎると、皆が火傷するからね。
認めざるを得なかったのよ。」

...結局はいつものろけに落ち着くんだな。

「まつり、こんな拙いアドバイスでも大丈夫かしら?」

「うん、やるだけやってみる。」
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