酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「佐伯さん...。」

声をかけると、佐伯さんがこちらを向いた。

「あの...わたし、今回のこと、自信なくて。
ごめんなさい。」

「謝るのは俺の方だよ。
俺のせいで、まつりに迷惑かけちゃったね。
ごめん。」

「いいえ、佐伯さんのせいじゃないですよ。
私が非力なせいです。

あの...もし、良い結果が出なくても、マネージャーじゃなくなっても、私との関係...続けてくれますか?」

「もちろん。俺はまつりのこと大好きだから。
俺こそ、非力なんだよ。自分が情けなくて。」

「そんな。佐伯さんは情けなくなんかないです。いつも、皆の力になっていて、すごいなっていつも思うんです。」

「少しでもね。そうなってくれてるなら嬉しい。でも、まつりにはどうだろうか。」

「え?」

「1番大切な人に、1番自分の力を注げているんだろうか。まだまだ、ちっぽけなんじゃないかって。

正直、弱音を言っているようだけど、自信があるわけじゃないんだ。

どんな言葉をかけてあげられるかも、分からなくなってしまって。

いつも、俺は大事なところでそうなってしまう。何も言えなくなってしまって。」

「私も、そうです。佐伯さんにできることって私なんかじゃちっぽけなことだと思うんです。

でも、佐伯さんは、...綺麗な人だから、きっと慎重なんだと思うんです。決して悪いことじゃないと思います。気持ちは、すごく伝わってきますし。私も、もっと気持ち...伝えなきゃって...。頑張らないといけないなって。」

抱きしめてくれる。

...嬉しい。

「最近は、あまりこうして触れ合うこともなかったよね。ごめん。」

「いえ...私のせいで...。」

「...俺のことを、全部知られることは、
もう怖くはないんだよ。

ただ、まつりの元へ踏み込むのは、少し怖かった。」

「そんな...怖がることはないとは思うんですけど。私はその...私のこと知ったら佐伯さんが引いちゃうんじゃないかっていう不安はあります...。」

「そっか...でも俺は...独占欲が強い方だと思うから...。

俺の元を離れると、他の人に魅力を感じちゃうんじゃないかってまだまだそんなことを思って...。

これからも大丈夫って言い合うだろうけど、離れるとやっぱりつらいよね。」

「はい...。」

「...今夜は、俺の家に連れて帰ってもいい?」

純粋な瞳を揺らしてそんなこと言われたら...。

断れない。

ことわりたくない...。
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