酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「きゃっ。」

眼鏡を外そうとしたのはいいものの、落ちて割れてしまったようだ。

うーん。

他の参加者がこそこそ話してるし、審査員はため息をついている。

「あの...そろそろ披露してもらっていいですか?」

大室さんもそう促す始末だ。

「す、すみません!

...こほん。」



でも、

その子が歌いはじめた瞬間。

え...?

会場の雰囲気が一転した。

す、すごい...。

うまい!!

皆が目を見開いて、会場がざわついて、

曲の盛り上がりになると、

ワーって皆で盛り上がった。

こ、これは...。

才能っていうんだろうか。

...。

「...お、おわりです。」

というその声が拍手であっという間に埋め尽くされた。

「これは...審査員の方どうですか?」

「素晴らしい歌唱力ですね。
本当にあなたが歌われているんですか?」

「え、えっと...はい...。」

「なるほど。
もう一度歌っていただいてもよろしいですか?
今度は、アカペラで。」

「え、えっと...わ、分かりました...。」

...。

また、今度はアカペラで歌い始める。

でも、その声は大きな会場をすっぽりと包んでいった。

今度は皆が驚きで黙ってしまう。

なんか、

佐伯さんの初登場のときと似ているような...。

...。
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