酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「おかえりなさい、まつり。
早速テレビに出てるじゃない。」

「ちょこっとだけだよ。
同時期にデビューした子なんて、もうドラマの主演とか、有名歌番組に出てるもん。」

「いいのよ別に。自分のペースで少しずつ積み上げた方が良い結果が出たりするもんなんだから。」

「うん...。
でも、まだレッスンについていくのが精一杯って感じだし、マネージャーのときよりもずっと収入だって少ないよ。」

「最初はそんなもんよ。同時期にデビューした子だって、ずっと前から養成所に通ったり、オーディション受けまくったり、っていう下積み時代があるの。そう思えば、まつりは結構早咲きしてるほうよ。」

「そっか...。」

「それはいいけど、まつりは本当に芸能界デビューして良かったの?

佐伯さんのマネージャーだって続けようと思えばできたんでしょ?」

「うん。
でも、思い切ってデビューしちゃったほうがいいかなって。」

「聖塚さんがプロデュースを続けられるから?」

「それもあるし、自分も人からどう見られてるかっていうのも分かる。
それに、本当に頑張って少しずつ佐伯さんに追いついていくことだって不可能とは言い切れないと思うの。」

「なるほど。強くなったわね。」

「そうかな。」

「佐伯さんと出会ってから、まつりは変わったわ。
だって、つい最近までテストで赤点ばかり取ってきた子よ?こんなにしっかりするとは思わなかったわ。母さんはそれで十分。
失敗を恐れずに、全力で頑張りなさい。」

「うん。」
< 183 / 259 >

この作品をシェア

pagetop