酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
また大変なことになっちゃった!
「マカ、こんな時間にどうしたの?」

珍しく、マカから電話がかかってきた。

「どうしよう、私このままじゃダメかもしれない。」

「え?どうしたの?」

「私はただ、良い曲作りたいだけなのに。
権利侵害で訴えるって...。」

「え!?
誰がそんなことを?」

「大室さんの事務所から通達がきたの。
確かに、私が仕事できる範囲が狭められてるからって事務所に訴えかけてたことはあったの。」

「それで...?」

「そうしたら、今いる事務所から移籍して曲を無償で提供しろって言ってきて。
今まで作った曲も全部。そんなの聞き入れられるわけないでしょ。」

「うん。」

「最近、向こうは私のやろうとしてる事業全部を横取りしてくるの。佐伯さんとせっかく立て直せたと思ったのに、仕事は表立ってできないし、実質何も変わってない。」

「そうなんだ。」

「そればかりか、私が育てたアーティストたちが皆別事務所に行っちゃって、もうこっちの事務所は倒産寸前だって。

それなのに音楽や演出を真似したとか、情報を盗んだとか好き勝手言われて、ふざけるなって言ったら、訴えるって通達を出されたの。」

「そんな...。」

「まつり、私どうしたらいいのかな。」

そう言われても...。

私ができることはしたつもりだし...。

「なんて、まつりに言っても仕方ないよね。私の問題なのに。」

「ううん。」

「でもこのままじゃ私の作った作品たちも、佐伯さんも皆とられちゃう。」

「...。」

「...ごめん。色々しなきゃいけないからもう切るね。」

「うん。」
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