酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
それで、一応、裁判沙汰にはならずに済んだみたいなんだけど...。
状況はそう簡単には好転しないみたいで。
「あの、マカ。
ちょっとききたいことがあるんだけど。」
「なに?」
「最近、よく佐伯さんとお話しするの?」
「作品作るうえで必要なコミュニケーションはとってる。それだけだけど?」
「それで、良い作品ができてる?」
「せっかく良い作品が作れても、それを発表する機会がないの。
このままじゃアーティストどころかスタッフも満足に補充できない。
私にはもう、彼しかいないのに...。」
「...それは大変だとは思うけど、少し落ち着いてみたらどうかな?こういう時こそ冷静な対応が重要になってくると思うよ。」
「分かってるけど。
もう前みたいにゆったりできないの。」
「そうかもしれないけど。前は少しの人だけでも喜んでくれたり、自分が好きな音楽を追求したいって言ってたじゃない。その気持ちを忘れないで私は頑張ってほしいだけなの。」
「それは違うよ。今私は甘いって気づいた。自分で満足できる作品であっても売れなきゃ意味がない。何もできなくなっちゃうんだから。今の仕事を失うことより怖いことなんてないわ。
この仕事は私の生きがいなの。認められなきゃ意味がない。
その点、誰しもに認められて売れてる曲が腐るほどあって、終生困らない人はいいよね。私みたいな若輩者を陥れて満足できるんだからさ。」
「それって...大室さんのこと?」
「まつりも好きなことして楽しめてるからいいじゃん。佐伯さんみたいな優しくてカッコいい彼氏もいるしさ。はっきり言ってそういう人たちには私の気持ちなんて分かるわけないよね。」
「そういう言い方って...。」
「...ごめん。嫌な言い方して。
でも、まつりの気持ちは分かるけど、今の私には彼と話すことが必要なの。そうしないとアイデアが浮かんでこないし、調子も上がらないし。仕方ないんだってちょっとは分かってくれるでしょ?」
「でも...佐伯さんも予定があるとは思うから。」
「彼とマネージャーさんには了承得てるんだし、そんなに問題じゃないと思うよ。
私のこと心配してくれて、なんでも相談していいって言ってくれてる。それに甘えるのは悪いことなの?」
「別に、悪いとは言ってないけど。」
「けど?」
「うーん。」
「言いたいことがあるならはっきり言えば?」
「...本当にそれだけなの?」
「それだけって?」
「仕事に必要なコミュニケーションって言ったけど、本当にそれだけのために佐伯さんと話してるのかなって。」
「何が言いたいの?」
「...佐伯さんのこと、本当になんとも思ってない?あくまで仕事上の関係だって言い切れる?」
「...そんなこと考えてるんだろうなとは思ったけど。
私のこと疑ってるんだ。」
「そういうわけじゃ...。」
「そう言ってるようにきこえるけど。」
「ごめん...、
でも、私の気持ちも少しは分かってくれないかな。
佐伯さんは素敵な人だし、私、不安なの。
正直、女の人が少しでも佐伯さんと近づいて話しているのを見ただけでいい気分はしない。
自分でもわがままだし、だめだとは思うけど、
自分の気持ちをそう簡単に変えることはできないんだ。」
「だからって、私はどうすればいいの?
佐伯さんと話すのをやめろって?
それはわがままが過ぎるんじゃない?」
「そこまで求めてるわけじゃないけど。
やっぱり少しは配慮っていうか、してもらいたいなってだけだよ。
佐伯さんにきいたら、ここ最近は毎日のように会いたいって言ってくるってきいたよ。
流石にそこは週に1、2回ぐらいでもいいんじゃないかなって。」
「そう言われても、急に話したいことが思いつくことだってあるじゃん。
創作活動ってそういうものなの。
予定通りに全ていくわけじゃないの。私は大室さんと違ってセンスも才能もないんだから。」
「そんなこと...。」
「ともかく、そこはまつりも分かって。
こっちだって、配慮してないわけじゃないんだよ。ずっと前から2人のこと応援してたじゃん。今少しだけ手を貸してほしいって言ってるだけだから、ちょっとだけ我慢してよ。」
「...それっていつまで?」
「分からない。」
「...誰かに頼ることもときにはいいかもしれないけど、行き過ぎたらマカのためにならないんじゃないかな。」
「どうして?私は頼りすぎてるかな。
ここまでずっと厳しい芸能界を自力で這い上がってきたのにさ。
私のためにならない?ずっと家族や彼氏に頼りきりの人に言われたくないよ。」
「え...。」
「オーディション受かったのだって本当に自分の実力だと思ってるの?
私がレッスン手配したんじゃない。それか、父親が有名人だから審査員が忖度しただけだよ。」
「そんな、ひどい...。」
「そろそろ言わなきゃ分かんないと思って。
芸能界は甘い場所じゃないの。
這い上がっていくためには蹴落としたり、利用したり、なんだってしなくちゃ。
まつりは自分で手を汚さなくても周りに助けてくれる人がいるから羨ましいよ。
そういえば、この前レッスン見たけど、実力で選ばれたなんて納得は出来なかったわね。
この際に言わせてもらえばビジュアルもパフォーマンスも全然だめ。
そっちこそ少しは危機感持てば?って言ってあげたかったの。
恋愛にうつつを抜かしてる場合じゃないってね。」
「そんな風に思ってたなんて...あんまりだよ。」
「こっちこそ。
まつりに変に妬まれてるなんて思わなかった。私にすれば呆れた話だけど。
こっちは本気でやってるんだから、あなたのように甘ったれた恋愛なんてするわけないでしょ。
そんなもの、こっちはもうとっくに切り捨ててるのよ。
ろくな覚悟もないで芸能界に入ってぬるま湯に浸かっていい思いしてるなんて気に入らない。
私がまつりと佐伯さんに迷惑かけてるって言いたいみたいだけど、むしろ佐伯さんに迷惑かけてるのはそっちじゃない?そろそろ愛想つかされちゃうかもね。」
「なんでそんなこと言うの?ひどい。」
「さっきあなたが言ったのと同じよ。
自分の気持ちはそう簡単には変わらない。
私たちここまでみたいね。」
「そんな...。」
「お互い好きにやっていきましょ。」
「好きにって...。」
「佐伯さんのこと、仕事のために好きなだけ利用することにするから。こっちは他人への迷惑なんて知ったことじゃないしね。
じゃ。」
「あ、待って!」
行っちゃった...。
状況はそう簡単には好転しないみたいで。
「あの、マカ。
ちょっとききたいことがあるんだけど。」
「なに?」
「最近、よく佐伯さんとお話しするの?」
「作品作るうえで必要なコミュニケーションはとってる。それだけだけど?」
「それで、良い作品ができてる?」
「せっかく良い作品が作れても、それを発表する機会がないの。
このままじゃアーティストどころかスタッフも満足に補充できない。
私にはもう、彼しかいないのに...。」
「...それは大変だとは思うけど、少し落ち着いてみたらどうかな?こういう時こそ冷静な対応が重要になってくると思うよ。」
「分かってるけど。
もう前みたいにゆったりできないの。」
「そうかもしれないけど。前は少しの人だけでも喜んでくれたり、自分が好きな音楽を追求したいって言ってたじゃない。その気持ちを忘れないで私は頑張ってほしいだけなの。」
「それは違うよ。今私は甘いって気づいた。自分で満足できる作品であっても売れなきゃ意味がない。何もできなくなっちゃうんだから。今の仕事を失うことより怖いことなんてないわ。
この仕事は私の生きがいなの。認められなきゃ意味がない。
その点、誰しもに認められて売れてる曲が腐るほどあって、終生困らない人はいいよね。私みたいな若輩者を陥れて満足できるんだからさ。」
「それって...大室さんのこと?」
「まつりも好きなことして楽しめてるからいいじゃん。佐伯さんみたいな優しくてカッコいい彼氏もいるしさ。はっきり言ってそういう人たちには私の気持ちなんて分かるわけないよね。」
「そういう言い方って...。」
「...ごめん。嫌な言い方して。
でも、まつりの気持ちは分かるけど、今の私には彼と話すことが必要なの。そうしないとアイデアが浮かんでこないし、調子も上がらないし。仕方ないんだってちょっとは分かってくれるでしょ?」
「でも...佐伯さんも予定があるとは思うから。」
「彼とマネージャーさんには了承得てるんだし、そんなに問題じゃないと思うよ。
私のこと心配してくれて、なんでも相談していいって言ってくれてる。それに甘えるのは悪いことなの?」
「別に、悪いとは言ってないけど。」
「けど?」
「うーん。」
「言いたいことがあるならはっきり言えば?」
「...本当にそれだけなの?」
「それだけって?」
「仕事に必要なコミュニケーションって言ったけど、本当にそれだけのために佐伯さんと話してるのかなって。」
「何が言いたいの?」
「...佐伯さんのこと、本当になんとも思ってない?あくまで仕事上の関係だって言い切れる?」
「...そんなこと考えてるんだろうなとは思ったけど。
私のこと疑ってるんだ。」
「そういうわけじゃ...。」
「そう言ってるようにきこえるけど。」
「ごめん...、
でも、私の気持ちも少しは分かってくれないかな。
佐伯さんは素敵な人だし、私、不安なの。
正直、女の人が少しでも佐伯さんと近づいて話しているのを見ただけでいい気分はしない。
自分でもわがままだし、だめだとは思うけど、
自分の気持ちをそう簡単に変えることはできないんだ。」
「だからって、私はどうすればいいの?
佐伯さんと話すのをやめろって?
それはわがままが過ぎるんじゃない?」
「そこまで求めてるわけじゃないけど。
やっぱり少しは配慮っていうか、してもらいたいなってだけだよ。
佐伯さんにきいたら、ここ最近は毎日のように会いたいって言ってくるってきいたよ。
流石にそこは週に1、2回ぐらいでもいいんじゃないかなって。」
「そう言われても、急に話したいことが思いつくことだってあるじゃん。
創作活動ってそういうものなの。
予定通りに全ていくわけじゃないの。私は大室さんと違ってセンスも才能もないんだから。」
「そんなこと...。」
「ともかく、そこはまつりも分かって。
こっちだって、配慮してないわけじゃないんだよ。ずっと前から2人のこと応援してたじゃん。今少しだけ手を貸してほしいって言ってるだけだから、ちょっとだけ我慢してよ。」
「...それっていつまで?」
「分からない。」
「...誰かに頼ることもときにはいいかもしれないけど、行き過ぎたらマカのためにならないんじゃないかな。」
「どうして?私は頼りすぎてるかな。
ここまでずっと厳しい芸能界を自力で這い上がってきたのにさ。
私のためにならない?ずっと家族や彼氏に頼りきりの人に言われたくないよ。」
「え...。」
「オーディション受かったのだって本当に自分の実力だと思ってるの?
私がレッスン手配したんじゃない。それか、父親が有名人だから審査員が忖度しただけだよ。」
「そんな、ひどい...。」
「そろそろ言わなきゃ分かんないと思って。
芸能界は甘い場所じゃないの。
這い上がっていくためには蹴落としたり、利用したり、なんだってしなくちゃ。
まつりは自分で手を汚さなくても周りに助けてくれる人がいるから羨ましいよ。
そういえば、この前レッスン見たけど、実力で選ばれたなんて納得は出来なかったわね。
この際に言わせてもらえばビジュアルもパフォーマンスも全然だめ。
そっちこそ少しは危機感持てば?って言ってあげたかったの。
恋愛にうつつを抜かしてる場合じゃないってね。」
「そんな風に思ってたなんて...あんまりだよ。」
「こっちこそ。
まつりに変に妬まれてるなんて思わなかった。私にすれば呆れた話だけど。
こっちは本気でやってるんだから、あなたのように甘ったれた恋愛なんてするわけないでしょ。
そんなもの、こっちはもうとっくに切り捨ててるのよ。
ろくな覚悟もないで芸能界に入ってぬるま湯に浸かっていい思いしてるなんて気に入らない。
私がまつりと佐伯さんに迷惑かけてるって言いたいみたいだけど、むしろ佐伯さんに迷惑かけてるのはそっちじゃない?そろそろ愛想つかされちゃうかもね。」
「なんでそんなこと言うの?ひどい。」
「さっきあなたが言ったのと同じよ。
自分の気持ちはそう簡単には変わらない。
私たちここまでみたいね。」
「そんな...。」
「お互い好きにやっていきましょ。」
「好きにって...。」
「佐伯さんのこと、仕事のために好きなだけ利用することにするから。こっちは他人への迷惑なんて知ったことじゃないしね。
じゃ。」
「あ、待って!」
行っちゃった...。