酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
今日は、佐伯さんとお仕事で会える日だ!

楽しみだな。

とはいえ、あんまり馴れ馴れしくできるわけじゃないし、ちょい役だから話せるかどうかも分からないけど。

「おはようございます。
雛形まつりです。今日はよろしくお願いします。」

佐伯さんも含め、重要なキャストの人たちに挨拶をした。

うわ.,.錚々たるメンバー...。

その中でもやっぱり佐伯さんは1番すごいオーラを感じる。

こういう仕事のときの姿ってまたひと味もふた味も違う。

「ねー、雅くん。この子知ってる?」

「はい。最近とても人気のグループの子ですよ。」

「へえ。そうなんだ。
私あんまり音楽聞かないから知らないけど。

この子も役出るの?」

「はい。
今回は田仲社長の秘書役を演じさせてもらいます。」

「君が秘書?
あの台本にしてはちょっと若すぎる気がするんだけどなー。」

「というか、幼すぎるでしょ。
大人の役ってのはね、大変なんだよ。
アイドルの端くれができる役じゃないの。
気軽に引き受けない方がいいよ、こういうのって。うちの監督厳しいし、今からでも見学のみにしたら?」

「そうだよねー。」

...それは確かにそうかもしれない。

この人たちは本当のプロだもん。

それに対してこっちはほぼ素人だ。

厳しいこと言われても言い返す言葉もないな。

「俺はそうは思いませんよ。
彼女は適役だと思います。」

「雅...?」

「台本を読む限り、彼女の若さや経験してきた苦労がぴったりと重なる役柄だと思うんです。」

「まあ...雅が言うならそうかもしれないけど。」

「それに、配役を選んだのは監督ですから。その目に狂いはないと思います。」

佐伯さんの発言に皆が黙ってしまう。

すごい...。

「雛形さん、よろしくお願いします。」

「は、はい!」
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