酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
久しぶりにここに来た。

相変わらず、気を遣ってお茶やお菓子を出してくれるけど、それを頂いたあとは、なんとなく、何もすることなくソファに腰掛けていた。

というのも...。

「佐伯さん、あの...。」

「ん?」

「私の顔に、何か付いてますか...?」

「なんにも。」

「そ、そうですか...。

あの、今日はフォローしていただいて、ありがとうございました。」

「思ったことをそのまま言っただけ。
まつりは本当に頑張ってるよ。」

「そんな。佐伯さんには敵いません。」

「そうかな。でも、今日はちょっと恥ずかしかったな。演技はともかく喧嘩のシーン撮ってたから。」

「本当にカッコよかったです。」

「昔のこと思い出して、思わずやりすぎちゃったかも。楽しかったけど。」

「それは良かったです。
私なんかまだまだで、迷惑かけちゃいました。」

「大丈夫。俺は上手だと思ったよ。」

「佐伯さん...。」

やっぱり...。

「やっぱり、その...気になります。」

「どうしたの?」

「あんまり、じっと見られるの、恥ずかしいです...。」

「慣れれば、大丈夫。」

「そんな...。

きゃっ。」

ぎゅっとされて、倒されちゃった...。

やだ、また私...。

「ごめん。
もっとくっつきたい。」

「まって...ください。
まだ、心の準備が...。」

「目、瞑ってて。」

「っ...。」

...。

「はい、おしまい。
頑張ったね。」

「...。」

「つらいよね。
俺のこと受けとめるのは。」

「あ、の...。」

「...。」

「いま...準備、できました...。」

「もっと?」

「もう少しだけ...。」

「分かった。

もう少し、だね...?」

ちょっと...後悔してるかも...。

あんまりにも熱く接せられたら...。

「...。」

「いいよ。目、逸らしててもいいから。
俺のこと...受け入れて。」

やだ...こんなの...。

好きって気持ちが爆発しそう...。

「雅さん...。」

「...っ。」

「待って...ください。」

「...やっぱり、だめかな?」

「いえ...。
でも、いつも、雅さんばっかりだから...。」

「なに...?」

「たまには私から...させてください。」

「え...?
ちょっと、まっ...!」


...。

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