酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「佐伯さんは、声優になろうと思ったきっかけとかってあるんですか?」

「きっかけか...。
なんかこう言うと情けないけど、自分の自信になるものが欲しかったんだ。」

「自信...ですか。」

「姉は小さい頃から自分でオーディション受けて女優になったからね。
両親も一緒に仕事を営んでいて、
皆自分ってものをしっかり持ってる。
それに比べて俺は...なんて昔から思ってたから。」

意外...。

「とはいえ、入っちゃったらなんかあっという間だったかな。
そういう感覚もおかしいけど。」

「おかしいですか?」

「うん。あっという間に終わったって感覚じゃなくて、まだ途中経過な感じするな。
これからもっと頑張らないとなって思う。」

「なるほど...。それでしたら気分を一新して歌とかどうですか?無理しない程度に。」

一応、マカの意向も伝えておかなきゃね。

「えー、じゃ、とりあえずこの後カラオケ行く?」

「...いいんですか?」

「...そういえばまつりって俺のファンなんだっけ。」

「はい。」

「それは嬉しいけど、他の人に誘われても気軽に行っちゃだめだよ。危険だから。」

「はい...、すみません。」

やっぱり、冗談だよね...。

一緒にどこか行くなんて...。

あくまで仕事上の関係なんだから。

「いやごめん。そんなにがっかりしないで。
まつりと一緒にいるの楽しいよ。」

「本当ですか?」

「うん。まつりの笑顔を見ると頑張ろうって思える。」

お世辞でも嬉しい...。

「本当だったら仕事だけじゃなくて、プライベートでも仲良くしたいくらいだけど、ご家族に悪いよね?」

「いえ。両親も基本好き勝手ですし、自分のことは自分でどうにかしろって言われてますから大丈夫です。」

「それはたくましい...。
でも、それだと俺もわがまま言っちゃうかもよ?」

「わがままですか...?」

「うん。寂しがりやだからね、俺。」

「いつでも呼んでください。」

「まつりは俺に甘いんだね。
でもそういうところ、好きかも。」

す...!

ああまたすぐそうやって反応...。

「じゃあさ、とりあえず連絡先教えてあげる。前の電話番号は事務所経由だからさ。個別に連絡できればいいなって。」

「いいんですか!?」

「うん。気軽にメッセージ頂戴。
こっちも遠慮しないから。」

「はい、ありがとうございます!」

やった。

個別の連絡先交換してもらっちゃった!
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