酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
次の日、いつもどおり控室で。

「おはよう。」

「佐伯さん、おはようございます。」

「寝坊しないでちゃんと来れたね。
えらい。」

頭撫でてもらっちゃった...。

嬉しい。

「朝からかわいいまつりが見れて幸せだな。」

「そ、そんな...わたし...。」

「抱きしめていい?」

そんないきなり...??

でも、
反射的に

「はい。」

って言っちゃって...。

それで、ぎゅーってされた。

私こそ幸せ...。

それだけで、ちゃんと好きでいてくれてるんだなって、分かるから。

「今日は、どうすればいい?」

「えっと...予定では、
午前に2つ収録があって、午後も3時から収録ですけど、そのあとは、私...打ち合わせに行かないといけないです...。」

「それは寂しくなるな。駄々こねたいけど、仕方ないか。」

「ごめんなさい...。」

「いいよ。今のうちにたくさん触れておくから。」

「え...?」

密着したまま...。

シトラス系の、いい匂いがする...。

私、熱上がっちゃってるかな...。

あ...。

手、ぎゅっと握られて...。

そのまま、ちょっと強引に...

気づいたら、壁に背中をくっつけていた。

あ、これって...。

逃げ場...ないかも...。

このまま...

このまま...?

あ...あっ...。

だめ、

顔が...近づいて...。

ちゅっ。

「今日はおでこで我慢してあげる。」

「...さえき、さん...。」

「こら。我慢してあげたのに、あおっちゃだめだよ?」

「あおってなんか...ないです...。」

「そうかな。顔赤いし、目が潤んでるよ?
ずるい女の子の顔してる。」

「そんな...。」

顎をその手で軽く持ち上げられてしまった。

「それとも今、ほんとにしたかった?」

「〜〜〜!」

視線が、熱くて...。

佐伯さんと、すごく高密度で...。

目が回っちゃうよ...。

「でも、今度そういう顔しちゃったら、
容赦できないかも。」

「だめ...。」

「だめだったら、こうしても平気でいられるようにがんばってね。」

む、無理です...!

というか...、

もうこの状況自体無理なのでなんとかしてください!!

頭がパンクしちゃうから...!

と、赤面で願っているとやっと離してくれた。

それで、笑ってる...。

「まつりはかわいいな。
そんなに大胆に反応してくれるなんて。」

「もう...。」

「逆に心配だよ。他の人にこんな感じで言い寄られたら断れる?」

「他の人は断れます。
でも、佐伯さんは...。」

「俺はむり?」

「...。」

「ねえ、そんなにかわいい顔されても俺、困るよ?」

「え...、そんな、...。」

「特に今、控室で2人きりなんだって、意識してる?」

「い、意識...!?」

「ああ、ごめん。そんなに怯えないで。
いじめすぎた。悪かったよ。」

「ぃえ...いえ...。」

「よしよし。
いい子だね。」

もっと...余裕がある女の子じゃなきゃだめかな...。

だって佐伯さんだもん!

しかも、付き合って...すぐにこんな...。

こんなことなると思わないよぉ!!
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