酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
収録が一通り終わって、楽屋で佐伯さんとお喋りしてた。

そういえば、今日あたりから新しく俳優さんが来てるんだっけ?

「そういえば、Bフロアに俳優さん来てるんじゃないですかね?」

「そうなの?
何もきいてなかったな。
挨拶行ったほうがいいかな。」

「そうですね...。」

そのとき、楽屋を誰かがノックした。

「失礼します。御園ユウトのマネージャーの小野寺と申します。」

あ、打ち合わせのときいた人だ。

「すみません。御園は朝から仕事が入ってまして、代わりに私がご挨拶に...。」

「いえ。わざわざお気遣いどうも。
こちらこそすみません...。」

と、佐伯さんが返したそのとき。

「おい。
お前勝手に行ってんじゃねえよ。」

...。

この人が御園さん...。

さすが俳優さんってこともあって、背が高いし、顔もカッコいいけど、なんだか気が強そうな人だな...。

御園さんは、佐伯さんにグイグイ近づいた。

「へぇ。
あんたが佐伯雅ねぇ...。」

「...どうも。」

「いけすかない顔してんな。
所詮は声だけのインキャって感じ。」

なにこいつ!

「俺の名前は知ってるだろ。
有名だから。」

「えっと、御園くん...だったかな?」

「は、知らねえの?
俺は、御園ユウト。あんたみたいな声だけで商売してる引きこもりとは違うんだよ。」

「あの、さっきからちょっと失礼じゃないですか?」

「すみません。
御園さん、謝ってください。」

「は?なんで俺が?
謝るならそっちだろ。
俺のスペース半分奪ってんだからよ。」

はぁぁ!?

後から入ってきたんだから
どちらかといえば奪ったのこの人たちでしょ!!

「まあいい。
今事務所のメインは俺だし。
せいぜいひっそりと生存してるんだな。
じゃ。」

「あ、待ってください御園さん...!
すみません、失礼しました。」

バタン。

なんなの...?
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