酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
それから、収録など終えて、移動した楽屋にいるわけだけど。
まあ、2人だけならちょうどいいかな...。
待遇下がった感見え見えだけど。
「佐伯さん、部屋狭くなりましたけど大丈夫ですか?」
「問題ないよ。」
「すみません、なんか...。」
「大丈夫。」
相変わらず、温和な感じで返してくれるけど、今朝のこともあり、心配だ。
私にとってだって、
相当な阻害事由なのに、あいつ。
「まつり。」
「はい。」
「もう少し、近くにきて。」
「はい...。」
...。
隣に座ると、すぐにぎゅっとされた。
「狭いほうが、こうして身を寄せ合えるよね。少しでも、まつりを近くに感じることができる。」
「...。」
相変わらず、私に真摯な気持ちを向けてくれるとき、胸が高鳴ってしまう。
それで、何も言えなくなって...。
「んっ...。」
キスがあまくて...。
佐伯さん...。
すき。
...。
「...!」
唇が離れて、
そっと、目を開けたとき、びっくりした。
必死な悲しい気持ちをこらえて、笑っている気がしたからだ。
私...ひどいことしちゃった...。
確かに、ずっと佐伯さんのことを想っているし、今でもその気持ちは1ミリも変わらないけど。
でも、心のどこかで、佐伯さんも私の気持ちを分かってくれて、
あの男と関わることも、
冗談っぽく許してくれてるんじゃないかって思ってた。
相思相愛で、安心してくれてるとばかり...。
でも、そんなことはなかったんだ。
私が思うより、ずっと佐伯さんは私に傷つけられてた。
「佐伯さん、ごめんなさい...。」
「...。」
少し顔を伏せて、何も言えずにいる彼。
私はなんといって励ませばいいんだろうか。
どうすれば...。
...。
「やっぱり、自分の醜い気持ちだって、嘘はつけないんだね。」
「佐伯さん...?」
「独り占めしたい。俺だけ見てほしい。
他の男のことなんて、考えてほしくない。」
「...。」
「俺より、馴れ馴れしく話している感じがする。
何事も負けているような気がする。
あの、誰にでも置いていかれた自分に戻ったような感じがする...。」
「...。」
「寂しい。
俺のこと、慰めてよ。」
慰める...。
そんな、わがまま言うの、本当に珍しいことなんだ。
何とかしてあげたい。
でも、そうしようとすると、余計に傷つけてしまうような気がして...。
「...まつりって。」
「え...?」
「あの人が...そう呼んでた。
それを見たら悔しくて。
俺よりも、ずっと自然に、簡単にそう呼べている彼が羨ましい。」
それに、私はまだ...。
こう言われるまで、佐伯さんの本気の気持ちを理解してあげられなかった。
どこか夢見心地で、心持ちでは、
私のことを善意か何かで想ってくれてるんじゃないかって。
そんな勝手な気持ちが抜けなかったから。
それは違って。
この人は、芸能人っていう特殊な人間なんかでなく、
普通の人となんら変わらない人間なんだって。
恋だって、普通にするんだ。
他の人と何も変わらない。
それなのに、ファンだからって、勝手すぎる理想像のように彼を見て、ときめいていた私は...。
彼を使って商売する事務所の人たちとあまり変わらない。
それよりも、ひどいことをしてしまったかもしれない。
彼を裏切ってしまったような、後ろめたさを感じる。
好きなのに...。
それでいることが、罪深いようで...。
でも、
でも...。
好きなんだ。
どんな気持ちでも、好きでいることは変わらない。
私こそ醜くても。
そう、伝えてあげたい...!
「佐伯さん、好きです。」
「...。」
「私は、ずっと佐伯さんのことだけが好きです。最初はファンとしてだったけど、今は少し違って。」
「...。」
「佐伯さんのこと、芸能人としてだけじゃなく、1人の人としても、大好きなんです。
今は、そのことをもっと確実にするために、私、頑張ります。」
「あ...ありがと...。」
突拍子もないことを言われて、目を丸くしてるように見える佐伯さんだけど、
それはたぶん違って。
色んなことを思った結果、そんな反応しかできない、ほんとはちょっと不器用な人...。
そんなところも愛おしい。
なんて...そんな偉そうなこと私言っていいのかな。
そりゃあ、どっちが不器用かっていえば私のほうがひどいのは確実だし...。
「嬉しいな。安心した。」
「よかった...。」
「だって、こんなに目を見て話してくれるの、久しぶりだもんね。」
「え...えっと...。」
って言われた側から恥ずかしくなって目を逸らしちゃダメじゃんわたし...!
そんな私の不器用なところも、佐伯さんは受け入れて、笑ってくれる。
そのことが嬉しくて、私も笑って...。
まあ...。
そんなわけだから、あんな邪魔なやつでも
案外いいきっかけって、
そうポジティブに捉えてやろう。
まあ、2人だけならちょうどいいかな...。
待遇下がった感見え見えだけど。
「佐伯さん、部屋狭くなりましたけど大丈夫ですか?」
「問題ないよ。」
「すみません、なんか...。」
「大丈夫。」
相変わらず、温和な感じで返してくれるけど、今朝のこともあり、心配だ。
私にとってだって、
相当な阻害事由なのに、あいつ。
「まつり。」
「はい。」
「もう少し、近くにきて。」
「はい...。」
...。
隣に座ると、すぐにぎゅっとされた。
「狭いほうが、こうして身を寄せ合えるよね。少しでも、まつりを近くに感じることができる。」
「...。」
相変わらず、私に真摯な気持ちを向けてくれるとき、胸が高鳴ってしまう。
それで、何も言えなくなって...。
「んっ...。」
キスがあまくて...。
佐伯さん...。
すき。
...。
「...!」
唇が離れて、
そっと、目を開けたとき、びっくりした。
必死な悲しい気持ちをこらえて、笑っている気がしたからだ。
私...ひどいことしちゃった...。
確かに、ずっと佐伯さんのことを想っているし、今でもその気持ちは1ミリも変わらないけど。
でも、心のどこかで、佐伯さんも私の気持ちを分かってくれて、
あの男と関わることも、
冗談っぽく許してくれてるんじゃないかって思ってた。
相思相愛で、安心してくれてるとばかり...。
でも、そんなことはなかったんだ。
私が思うより、ずっと佐伯さんは私に傷つけられてた。
「佐伯さん、ごめんなさい...。」
「...。」
少し顔を伏せて、何も言えずにいる彼。
私はなんといって励ませばいいんだろうか。
どうすれば...。
...。
「やっぱり、自分の醜い気持ちだって、嘘はつけないんだね。」
「佐伯さん...?」
「独り占めしたい。俺だけ見てほしい。
他の男のことなんて、考えてほしくない。」
「...。」
「俺より、馴れ馴れしく話している感じがする。
何事も負けているような気がする。
あの、誰にでも置いていかれた自分に戻ったような感じがする...。」
「...。」
「寂しい。
俺のこと、慰めてよ。」
慰める...。
そんな、わがまま言うの、本当に珍しいことなんだ。
何とかしてあげたい。
でも、そうしようとすると、余計に傷つけてしまうような気がして...。
「...まつりって。」
「え...?」
「あの人が...そう呼んでた。
それを見たら悔しくて。
俺よりも、ずっと自然に、簡単にそう呼べている彼が羨ましい。」
それに、私はまだ...。
こう言われるまで、佐伯さんの本気の気持ちを理解してあげられなかった。
どこか夢見心地で、心持ちでは、
私のことを善意か何かで想ってくれてるんじゃないかって。
そんな勝手な気持ちが抜けなかったから。
それは違って。
この人は、芸能人っていう特殊な人間なんかでなく、
普通の人となんら変わらない人間なんだって。
恋だって、普通にするんだ。
他の人と何も変わらない。
それなのに、ファンだからって、勝手すぎる理想像のように彼を見て、ときめいていた私は...。
彼を使って商売する事務所の人たちとあまり変わらない。
それよりも、ひどいことをしてしまったかもしれない。
彼を裏切ってしまったような、後ろめたさを感じる。
好きなのに...。
それでいることが、罪深いようで...。
でも、
でも...。
好きなんだ。
どんな気持ちでも、好きでいることは変わらない。
私こそ醜くても。
そう、伝えてあげたい...!
「佐伯さん、好きです。」
「...。」
「私は、ずっと佐伯さんのことだけが好きです。最初はファンとしてだったけど、今は少し違って。」
「...。」
「佐伯さんのこと、芸能人としてだけじゃなく、1人の人としても、大好きなんです。
今は、そのことをもっと確実にするために、私、頑張ります。」
「あ...ありがと...。」
突拍子もないことを言われて、目を丸くしてるように見える佐伯さんだけど、
それはたぶん違って。
色んなことを思った結果、そんな反応しかできない、ほんとはちょっと不器用な人...。
そんなところも愛おしい。
なんて...そんな偉そうなこと私言っていいのかな。
そりゃあ、どっちが不器用かっていえば私のほうがひどいのは確実だし...。
「嬉しいな。安心した。」
「よかった...。」
「だって、こんなに目を見て話してくれるの、久しぶりだもんね。」
「え...えっと...。」
って言われた側から恥ずかしくなって目を逸らしちゃダメじゃんわたし...!
そんな私の不器用なところも、佐伯さんは受け入れて、笑ってくれる。
そのことが嬉しくて、私も笑って...。
まあ...。
そんなわけだから、あんな邪魔なやつでも
案外いいきっかけって、
そうポジティブに捉えてやろう。