酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
...結局、
今の時点で既に私の付け入る隙が無くなってしまっている。

あいつ、
暇があればすぐこの楽屋に押しかけてきて、
佐伯さんとゲームとか楽しそうに...。

「あの、もう仕事ないんですか?」

「今日は夜の収録まで暇だから。」

「佐伯さんを夜までずっと拘束するのはダメですからね?」

「ずっとここにいるわけじゃないからいいだろ。ちょっとくらい。
このゲームきりがいいとこまで
佐伯とやりたいんだよ。」

「そういうのだめです。
ここは遊び場じゃありません!」

「ケチいな。仕事は真面目にやってんだからいいだろうが。」

「佐伯さんのお仕事の邪魔になりますから。」

「なってねーし。
な、佐伯。」

「無理矢理同意を得ようとしないでください。佐伯さん優しいんですから、
邪魔になってても言えるわけないでしょ?」

「別にそうなら言える関係だろ、
友だちならよ。」

「はぁ...?
というか、ずっとここにいるわけじゃないってことは、ここ移動してからも何かする気ですね?」

「うるせーな。
ちょっと電話とかメールするぐらいだろ。」

「電話、メール...?
何勝手に連絡先交換してるんですか!!」

「悪いかよ。」

「そ、そういうことは
私に一声かけてから...!」

「なんでいちいち何するのもお前に言わなきゃなんねーんだよ。
そんな決まり
どこに書いてあるんですかー??」

あーもう、堪忍袋の緒がきれそう!!

「まつり、ごめんね。
俺も勝手に連絡先交換するの、了解しちゃったし、その他にも色々迷惑かけて...。」

「あ、いえ。
佐伯さんは悪くありませんよ。」

「...佐伯には随分甘いんだなー。」

「あ、あなたみたいな自分勝手な人とは違うんです!!」

「何が違うんだよ。
というかお前こそ、
俺にだけ無理矢理、話通そうとするとか
自分勝手なんじゃねーの?」

「そんな、私はただ...!」

「ただ、なんだよ。」

「...。」

「言えねーじゃん?
マネージャーだからって、権力者でもなんでもねーし。
マジこういう奴勘弁だわ。」

...なんで、なんで私が...。

こんなやつに打ち負かされて...!

...悔しくて泣けてきそうだった。

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