もう二度ともう一度
「体育館の裏側」
あの転校生、高見真知子が現れて一週間が過ぎた。
周囲も段々と彼女を知っていく、頭脳明晰で運動も出来る。ピアノだけではない、他の文化的な事にも精通していた。そしてあの容姿。
「ごめんなさい、私は早川君が好きなので・・」 これを決め台詞に、たった今日まで既に四人の愛の決闘者(デュエリスト)が散っていた。
噂は校舎を貫き、教室の隅から隅までを駆け巡る。知らぬ所で、早川へのヘイトが蓄積していく。既に悪魔の計画は動き出していたのだった。
「ちょっと、アンタあの転校生と何かあるん?」
「いや、なにも・・」
野々原の友達で関西弁混じりのクラスメイトに、早川は尋問を受けていた。
「じゃあ、どう思ってるん?」
早川はただ思った事を口に出していた。
「厄介なヤツだと、思う」
そして、また別の女生徒を介し、その厄介から短い手紙が届いた。
【二人で話したい、昼休みに体育館裏 高見】
と、ある。
「どうすんの?」
「行くさ、ヤツが何を考えてるか知りたいからな!」
そう言うと、早川はパンを買いに行ったきり戻らなかった。高見真知子も既にいなかった。
〜体育館裏〜
「来てくれないかと思ったが?」
「お前、なに考えてんだ?」
高見は薄っすら笑った。
「昔は好いた者同士、昔話でもどうかと思ってな・・」
「俺はお前を知らんよ」
これを機に一体何者かと、自分を知る誰かなのか?とも早川は問う。高見真知子はそれを逆手問にして正解すれば認めると言う。
「仁美か?」
刹那、稲妻の様な衝撃が頬を襲う。平手打ちだ。
「クッ、麻美さんか!?」
次は逆側の頬に来た、軌道すらまったく見えない。そして女の細腕から繰り出されとは思えない痛みだ。
「早川、あまり私を怒らせるな・・!」
舌打ちした早川は、だったらこれで気が済んだろうと去っていく。
「こっからは聴こえへんなぁ、なんかヤバそうなフインキやけど」
食事を急ぎ済ませた女子達も駆けつけていたが、二人の会話は終わったらしく高見真知子もその場を後にしようとしていた。
『チッ、巨乳で気の強いったら麻美さんかなと思ったんだけどな・・後はネチネチ暗い女も何人か知ってるが、言わない方がいいかな・・』
そんな事を考えていると、ドンと壁へ誰かに押された。
「おい、早川あんまチョーシに乗るなよ!」
また名前が出て来ない、だが確かに同級生だ。高見真知子絡みかと察していた。
「お前、野々原に近づくな!」
なんだ、そっちかと思った。彼はこんな近距離で拳を振りかぶっている、まともに喧嘩も経験した事がないのだろう。
『チッ、八つ当たりしてやろうかと思うがおふくろがこんなヤツの家に頭を下げに行くなんてゴメンだな』
だったら回避して、拳を壁で潰させてやろうと思った。しかし・・
「デッ!」
結構な大きさの石だ。それが目の前の少年の首に当たり、彼は血を流して悶絶した。
「高見ッ!?」
石が飛んで来た方向に、高見真知子が立っていた。そして彼女はこちらに歩いて近づくと、その生徒の眉間や喉、急所ばかり何度も蹴りつけた。
「やめろッ!子供だ、死ぬぞッ!?」
庇う早川を見て、高見真知子はそれを「おかしな光景」だと評して去っていった。
蹴られた生徒も午後の授業を無断で早退し、しばらく学校へは現れず、その後は早川達に近寄る事も無かった。
幸いは、悟られない様に逆方向から教室に帰ったであろう野々原達に、この一件が知られなかった事だけだ。
周囲も段々と彼女を知っていく、頭脳明晰で運動も出来る。ピアノだけではない、他の文化的な事にも精通していた。そしてあの容姿。
「ごめんなさい、私は早川君が好きなので・・」 これを決め台詞に、たった今日まで既に四人の愛の決闘者(デュエリスト)が散っていた。
噂は校舎を貫き、教室の隅から隅までを駆け巡る。知らぬ所で、早川へのヘイトが蓄積していく。既に悪魔の計画は動き出していたのだった。
「ちょっと、アンタあの転校生と何かあるん?」
「いや、なにも・・」
野々原の友達で関西弁混じりのクラスメイトに、早川は尋問を受けていた。
「じゃあ、どう思ってるん?」
早川はただ思った事を口に出していた。
「厄介なヤツだと、思う」
そして、また別の女生徒を介し、その厄介から短い手紙が届いた。
【二人で話したい、昼休みに体育館裏 高見】
と、ある。
「どうすんの?」
「行くさ、ヤツが何を考えてるか知りたいからな!」
そう言うと、早川はパンを買いに行ったきり戻らなかった。高見真知子も既にいなかった。
〜体育館裏〜
「来てくれないかと思ったが?」
「お前、なに考えてんだ?」
高見は薄っすら笑った。
「昔は好いた者同士、昔話でもどうかと思ってな・・」
「俺はお前を知らんよ」
これを機に一体何者かと、自分を知る誰かなのか?とも早川は問う。高見真知子はそれを逆手問にして正解すれば認めると言う。
「仁美か?」
刹那、稲妻の様な衝撃が頬を襲う。平手打ちだ。
「クッ、麻美さんか!?」
次は逆側の頬に来た、軌道すらまったく見えない。そして女の細腕から繰り出されとは思えない痛みだ。
「早川、あまり私を怒らせるな・・!」
舌打ちした早川は、だったらこれで気が済んだろうと去っていく。
「こっからは聴こえへんなぁ、なんかヤバそうなフインキやけど」
食事を急ぎ済ませた女子達も駆けつけていたが、二人の会話は終わったらしく高見真知子もその場を後にしようとしていた。
『チッ、巨乳で気の強いったら麻美さんかなと思ったんだけどな・・後はネチネチ暗い女も何人か知ってるが、言わない方がいいかな・・』
そんな事を考えていると、ドンと壁へ誰かに押された。
「おい、早川あんまチョーシに乗るなよ!」
また名前が出て来ない、だが確かに同級生だ。高見真知子絡みかと察していた。
「お前、野々原に近づくな!」
なんだ、そっちかと思った。彼はこんな近距離で拳を振りかぶっている、まともに喧嘩も経験した事がないのだろう。
『チッ、八つ当たりしてやろうかと思うがおふくろがこんなヤツの家に頭を下げに行くなんてゴメンだな』
だったら回避して、拳を壁で潰させてやろうと思った。しかし・・
「デッ!」
結構な大きさの石だ。それが目の前の少年の首に当たり、彼は血を流して悶絶した。
「高見ッ!?」
石が飛んで来た方向に、高見真知子が立っていた。そして彼女はこちらに歩いて近づくと、その生徒の眉間や喉、急所ばかり何度も蹴りつけた。
「やめろッ!子供だ、死ぬぞッ!?」
庇う早川を見て、高見真知子はそれを「おかしな光景」だと評して去っていった。
蹴られた生徒も午後の授業を無断で早退し、しばらく学校へは現れず、その後は早川達に近寄る事も無かった。
幸いは、悟られない様に逆方向から教室に帰ったであろう野々原達に、この一件が知られなかった事だけだ。