もう二度ともう一度
「高見真知子」
想定していた様に、現状がなって行かない事にもどかしさがあるのはこの高見真知子も同じであった。
『早川め、お前好みの容姿の肉体を探してこの街へ来るのにどれだけ苦労した事か・・しかし、このバカみたいな胸の動き難さと来たらないな』
かなり離れたスポーツジムで、彼女は汗をかいていた。
キックミットの様な物を何度も蹴りつけてスポーツドリンクを口にする。
勉強は簡単にこなせても、彼女をしても早川相手にダウンを取る為の訓練は並のモノでは無かった。それでも相手は防御一辺倒だが、以前戦って彼が相当戦い慣れている事は痛感していた。
彼がその気なら女の身体など、二発と保たないだろう。
「じゃあ、私上がります」
女性トレーナーに別れを告げて、駅前でバスを待つ高見真知子。
「あれ?高見さん」
高見真知子の目の前に車が一台停車した、声の主である運転手は副担任の峰咲だった。
左ハンドルのスポーツカーと言うのが、少々彼女らしい。事情を話すと、近くまで送ってくれると言う。
「すごぉい、高見さんジムでそんな事してるんだぁ〜」
少し豊満な峰咲は、自分も通ってみようかなと笑った。
「先生は、どうしてこちらに?」
「うん、映画をねぇ私イーストウッド、凄い好きなの」
ああ、近くにある大型商業施設かと高見真知子は察した。一人で映画も悪くはない、高見も今は知らない作品を探してたまに足を運ぶ事もある。
「あのねぇ、高見さんは早川くんとなにかあるの?」
彼女が高見真知子を拾った大元の動機はこれだ。二人は隠していても大人達から見れば、関係性などわかりやすいモノでもある。
「お友達ですよ、少し仲の良い」
本当の事を言えば事故になるかもしれない、当たり障りなく答えた。
「ん〜早川くんねぇ、彼は・・なんだろう?フニャフニャしてて、ちょっと頼りないわね」
その通りだ。とそれはずっと不満でいて、でもそこが可愛い所だと思って少し笑ってしまった。
「好きなの、彼?」
「ええ・・心から」
内緒ですよ、と意味のない事を高見真知子は言った。彼女がこんな事を言うのはある目的の為の布石でもある。
「他のコ、好きだってなったらどうするのぉ?」
峰咲の言いたい事は、高見真知子には簡単に分かる。先生は先生で、自分を心配しているのだろう。
「それならばそれで、私も受け止めます。大切な人達の幸せは自分の幸せと同じですから」
段々と、学校近くの景色が見えて来た。この娘は強敵だぞ、と峰咲は考えながらハンドルを握る。
「え?一人暮らしなのぉ〜!」
峰咲の自宅は、ちょっと値の張りそうな広めの1LDKだ。これにはちょっと面食らった。
「ええ、親の方針で社会勉強にと。先生、今日はありがとうございました!」
峰咲は遅刻しないようにと、そう言って
窓を上げて車を走らせて行った。
「嘘よ、私が無理を言ってこうさせただけで・・」
そう言うと、高見真知子は郵便受けを見た。家族からの手紙があった。
それには差出人側の住所は北海道とある、またこれは北の果てだ。
『眠ったまま死を待っていたこの娘を、あの両親がどれだけ心配していると思うか?早川雅由季か・・罪な男だ』
そう回想すると、中身も読まず手紙を処分した。そして、彼女からすれば実は分からない未来。
それは次の学年のクラス編成だが、早川と野々原、そして関西弁の二谷は同じと言う事は彼に確認して知ってる。
今日、峰咲に本心を聞かれたままに吐露したのは、この中に確実に自分を入れて貰えるように彼女の口を使う為だった。
『早川め、お前好みの容姿の肉体を探してこの街へ来るのにどれだけ苦労した事か・・しかし、このバカみたいな胸の動き難さと来たらないな』
かなり離れたスポーツジムで、彼女は汗をかいていた。
キックミットの様な物を何度も蹴りつけてスポーツドリンクを口にする。
勉強は簡単にこなせても、彼女をしても早川相手にダウンを取る為の訓練は並のモノでは無かった。それでも相手は防御一辺倒だが、以前戦って彼が相当戦い慣れている事は痛感していた。
彼がその気なら女の身体など、二発と保たないだろう。
「じゃあ、私上がります」
女性トレーナーに別れを告げて、駅前でバスを待つ高見真知子。
「あれ?高見さん」
高見真知子の目の前に車が一台停車した、声の主である運転手は副担任の峰咲だった。
左ハンドルのスポーツカーと言うのが、少々彼女らしい。事情を話すと、近くまで送ってくれると言う。
「すごぉい、高見さんジムでそんな事してるんだぁ〜」
少し豊満な峰咲は、自分も通ってみようかなと笑った。
「先生は、どうしてこちらに?」
「うん、映画をねぇ私イーストウッド、凄い好きなの」
ああ、近くにある大型商業施設かと高見真知子は察した。一人で映画も悪くはない、高見も今は知らない作品を探してたまに足を運ぶ事もある。
「あのねぇ、高見さんは早川くんとなにかあるの?」
彼女が高見真知子を拾った大元の動機はこれだ。二人は隠していても大人達から見れば、関係性などわかりやすいモノでもある。
「お友達ですよ、少し仲の良い」
本当の事を言えば事故になるかもしれない、当たり障りなく答えた。
「ん〜早川くんねぇ、彼は・・なんだろう?フニャフニャしてて、ちょっと頼りないわね」
その通りだ。とそれはずっと不満でいて、でもそこが可愛い所だと思って少し笑ってしまった。
「好きなの、彼?」
「ええ・・心から」
内緒ですよ、と意味のない事を高見真知子は言った。彼女がこんな事を言うのはある目的の為の布石でもある。
「他のコ、好きだってなったらどうするのぉ?」
峰咲の言いたい事は、高見真知子には簡単に分かる。先生は先生で、自分を心配しているのだろう。
「それならばそれで、私も受け止めます。大切な人達の幸せは自分の幸せと同じですから」
段々と、学校近くの景色が見えて来た。この娘は強敵だぞ、と峰咲は考えながらハンドルを握る。
「え?一人暮らしなのぉ〜!」
峰咲の自宅は、ちょっと値の張りそうな広めの1LDKだ。これにはちょっと面食らった。
「ええ、親の方針で社会勉強にと。先生、今日はありがとうございました!」
峰咲は遅刻しないようにと、そう言って
窓を上げて車を走らせて行った。
「嘘よ、私が無理を言ってこうさせただけで・・」
そう言うと、高見真知子は郵便受けを見た。家族からの手紙があった。
それには差出人側の住所は北海道とある、またこれは北の果てだ。
『眠ったまま死を待っていたこの娘を、あの両親がどれだけ心配していると思うか?早川雅由季か・・罪な男だ』
そう回想すると、中身も読まず手紙を処分した。そして、彼女からすれば実は分からない未来。
それは次の学年のクラス編成だが、早川と野々原、そして関西弁の二谷は同じと言う事は彼に確認して知ってる。
今日、峰咲に本心を聞かれたままに吐露したのは、この中に確実に自分を入れて貰えるように彼女の口を使う為だった。