こんぺいとうびより
「本当よ。こっちは展示会で初めて会った時から、浩斗の大学の時の友達だって気づいてたのに。打ち合わせで何回も会っても全く気づかないのよ。」

「まあ、あいつは昔からあんまり女の子に興味なかったけど。こんな美人を覚えてないなんて相当だな。当時俺達テニサーの中でも美男美女カップルって言われてたのに。」

「昔のことよ。今はお互い相手もいないし。あなたは北欧でとっくに結婚してると思ってたけど。」

「君こそ。でも相手いない理由なんとなくわかるかも。美人でスタイル良くて色気もあって仕事もスポーツも家事も何でも出来て、性格も良くて、完璧過ぎて隙がなくて皆気後れしちゃうんだろうな。」

「そ、そんなことないわよ。私はそんな大した女じゃ・・・。」

図星だった。付き合った男達に直接的にまたは遠回しに言われたことがある。

『なんだか、静来のことすごく遠く感じる。』

『お前といると自分の駄目なところばかり見えてしまう。』

『思ったような女じゃなかった。』と言って去っていったプライドが高い男もいた。

「でもいくら振られたからって男に迫ったり、酔い潰れるまでやけ酒なんて静来らしくないな。飲み会では聞かなかったけど、今回の彼氏は今までのやつと違ったのか?」
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