こんぺいとうびより
「・・・まぁ、ね。あなたの次に長く付き合ったし。約二年間、一通りの行事を二回ずつ一緒に過ごして、彼も楽しそうに見えたけど・・・。」

───このまま付き合っていずれは結婚するのかもしれない、なんて思ってた。なのに、彼には他に好きな人が出来てしまった。彼と同じ会社の少し不器用な後輩をサポートしてるうちに彼女のことが好きになったって・・・。葉吉さんの大切な人も───もしも私が思ってる人で正しければ───不器用そうな感じがする。二人とも器用じゃないけど、健気で可愛らしい女性。

「やっぱり、君には俺クラスの男じゃないと駄目なんじゃない?」

「・・・確かにあなたは素敵だわ。外見も街で女性達が振り返るくらいだし、北欧でも名の知れたデザイナーだし・・・性格も・・・。」

───人の心に土足でなくちゃんと靴を脱いでスマートに入ってくる。彼と話すことで自分の気持ちが整理されて、癒されたり勇気が出たりする。そういう不思議な魅力がある。

「だろ?だから、俺達やり直さない?」

浩斗はさらりと言うと静来の顔を覗き込んだ。
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