こんぺいとうびより
「あ、そうそうここの棚よ。あとポーチの付録も多いけど、ポーチもここね。それ以外も色々見てみるといいと思うわ。」

「ありがとう。そうするよ。」

「最近は動画投稿サイトに付録開封動画っていうのもたくさん上がってるのよ。買う女性達はいくら付録でもパッと見たデザインだけでなく、材質や作りに『付録感』がないかとか、例えばトートならファスナーやスナップボタンで口が閉じられるかどうかとか、それが留めやすいかとか機能性も重視してるわ。」

「予算内でそこまでのものを作るのは、なかなか厳しいな。」

「でも、うちのブランドを知ってもらうとても良い機会よ。」

静来はいきいきとした笑顔を見せた。浩斗はその表情を見られたことを嬉しく思い、『そうだね。』と微笑み返す。

「他のブランドがどんな付録をつけてるかはネットでも見られるけど、実物を見た方がクオリティもチェック出来ていいと思うわ。」

「君も買ったりするの?付録つきの雑誌。」

「そうね。付録の為に買うというより買う雑誌についてきてることが多いけど、好きなブランドの付録がついていたり、ピンポイントでほしいと思っていたものが付録でついていて、デザインも良かったりすると、付録目当てで普段買わない雑誌を買ったりもするわ。参考になりそうな付録があったら持ってくるわね。」

「荷物になるから俺が家に行こうか?付録のこともっと聞きたいし。」

「え?」

「仕事の為だよ。ま、正直、それ以外の目的も・・・あるけど。」

わずかに色づいた浩斗の眼差しに戸惑い、静来は彼から目を逸らした。
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