こんぺいとうびより
「!!」
心臓がドキッと跳ねる。
静来はこれから何が起こるのかわかっていた。
4年間恋人同士だった彼とあの頃、何度も繰り返してきたこと───。
予想通り眉間に浩斗の唇が触れる。
触れたところから何かあたたかいものがじわりと広がって、彼と付き合っていた頃の自分に戻っていくような感覚をおぼえた。
まるで封印を解かれ、やっと何かから解放されたかのような気持ちになる。
浩斗の唇は鳥のように軽やかに彼女の顔を飛び回った。
まずは両目尻に留まり、次は鼻、それから左、右の順で頬に留まる頃には、静来の中にあった戸惑いは跡形もなく消え去っていた。
「・・・なんだか今、森の中にいてすごく美味しい空気を吸っているように感じるわ。」
「どちらかと言うと、この部屋埃っぽいけどね。」
浩斗は煙たそうな顔で天井を見上げた。
「本当の私を無意識に封印してた。心の中にずっとあなたがいたけど、思い出すと寂しくなるから気づかないふりをして。付き合った人達にも心の瑞々しいところを見せずにいたのね。振られて当然よ。」
「きっと防衛本能で、その瑞々しいところにずっと咲いていた花を守っていたんだと思うよ。」
「そうかもしれないわね。」
「・・・静来、納得してるところ悪いんだけど・・・そろそろ本題に入りたい。」
自分の唇に熱い視線を注がれているのを感じて、顔が急速に熱くなってくる。
心臓がドキッと跳ねる。
静来はこれから何が起こるのかわかっていた。
4年間恋人同士だった彼とあの頃、何度も繰り返してきたこと───。
予想通り眉間に浩斗の唇が触れる。
触れたところから何かあたたかいものがじわりと広がって、彼と付き合っていた頃の自分に戻っていくような感覚をおぼえた。
まるで封印を解かれ、やっと何かから解放されたかのような気持ちになる。
浩斗の唇は鳥のように軽やかに彼女の顔を飛び回った。
まずは両目尻に留まり、次は鼻、それから左、右の順で頬に留まる頃には、静来の中にあった戸惑いは跡形もなく消え去っていた。
「・・・なんだか今、森の中にいてすごく美味しい空気を吸っているように感じるわ。」
「どちらかと言うと、この部屋埃っぽいけどね。」
浩斗は煙たそうな顔で天井を見上げた。
「本当の私を無意識に封印してた。心の中にずっとあなたがいたけど、思い出すと寂しくなるから気づかないふりをして。付き合った人達にも心の瑞々しいところを見せずにいたのね。振られて当然よ。」
「きっと防衛本能で、その瑞々しいところにずっと咲いていた花を守っていたんだと思うよ。」
「そうかもしれないわね。」
「・・・静来、納得してるところ悪いんだけど・・・そろそろ本題に入りたい。」
自分の唇に熱い視線を注がれているのを感じて、顔が急速に熱くなってくる。