こんぺいとうびより
「・・・ぁ。」

『三坂さん?』

「大丈夫です、次、お願いします!」


『・・・7568C、これで全部。数は多いけど、重いものはないから。』

「はい、承知しました。」

『あ、あの辺にいる男ども暇そうだな。地下(そっち)に取りに行かせようか?』

「だ、大丈夫です!ほら私、空手もやってて強いですし!」

『そうか?悪いけどよろしくな。』

「はい。」

耳から受話器を離すと、浩斗は一秒でも惜しい、という様子で受話器をひったくり素早く電話器に置くと静来を抱き寄せた。

彼女が何か言おうとする前に唇が重なり一気に熱量が増していく。

二人の唇は10年以上の時を越えての再会を喜んだ。

出会った頃のこと、共に過ごした4年間の思い出、別れた時の涙、別々の場所で奮闘した日々・・・たくさんの想いが二人を包み込んでいく。


「・・・ひろ・・・と、さすがにこれ以上は駄目・・・!」

静来が涙目で息を荒げながら顔を離すと、浩斗は彼女の後頭部を持ってグッと自分に引き寄せた。

「こんなんじゃ足りないよ。何年分もたまってるんだから。」

「駄目よ。部長のところにサンプル持っていかなくちゃ。今大変なのよ。悪いけど一緒に探してもらえない?」

なんとかして体を離すと、ね?となだめるように上目遣いで浩斗の顔を覗き込む。
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