こんぺいとうびより
「・・・さよか?」

カイが急に無言になったさよかを見ると、表情が強張り口をきゅっと結んでいる。

「・・・そうだったら?」

いつもはきはきと話す彼女が今にも消え入りそうな声で問いかけてくる。

「え?」

「もし、カイを追いかけて来てたらどうする?」

「ははっ!そんなわけないでしょ。えーっと『そっちは今何時?』、夜の10時になるところだよ。」

カイはさよかの質問を軽く流しコメントに答えるが、彼女はそのまま固まっている。

「どうした?体調悪い?」

普段と違うさよかの様子に心配になり顔を覗き込むと、潤んだ瞳で見つめ返される。

「・・・カイがこっちに来たからうちも来たんだよ。」

「・・・へ?・・・そんなことあるわけないでしょ・・・旅行ならまだわかるけどさ、仕事辞めてまでなんて・・・ねえ、さよかなんかおかしいよ。どうしちゃったんだよ。」

「本当だもん・・・。」

彼女は今にも泣き出しそうに唇を噛み締めている。

「さよか・・・?」

さよかはカイを真っ直ぐに見つめたまま口を開いた。

「うち、カイのことが好き。」

「!?!?」

「ずっと好きだった。だから来たの。」

声が震えそうになるのを必死で抑えて言葉を紡ぎ出す。
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